2009年1月21日水曜日

インターネットと政治参加

オバマ氏が大統領になってまず最初になにをするのか、世界中が注目していましたが、彼がまずサインした行政命令が、ホワイトハウスのスタッフの給与の据え置き、ロビイストの権限の制限、そして政府の情報公開に関するものであったことは、「おー、さすがー」と思いました。国民の政府に対する信用を取り戻し、経済危機のさなかに政府が一般市民の側にたっているということを示し、政府のアカウンタビリティを回復するには、象徴的にも実質的にも重要な第一歩だと思います。

PBS(アメリカの公共テレビ局)のニュース番組で、オバマ政権のもとでインターネットが果たす役割についての話題がありました。オバマ氏の選挙キャンペーン中に、特に若者層のあいだでインターネットがきわめて重要な役割を果たしたことは以前の投稿で何度か言及しましたが、インターネットは選挙活動の道具だけではなく、一般市民と政府を結びつけ、国民の主体的な政治・社会参加を促進する媒体であるということを、オバマ政権が認識していることがよくわかります。もちろん、政策をはじめとするさまざまな情報を政府が公開するための道具としては、すでにインターネットは幅広く使われていましたが、オバマ政権は、インターネットを、単に政府から市民への一方的な情報伝達の道具ではなく、市民が積極的に政治に関わり、社会奉仕活動などにさまざまなコミュニティを動員するための、よりダイナミックな媒体と捉えていることが伝わってきます。選挙キャンペーン中にインターネットを使って地域の支持者を集めたホームパーティなどを企画してオバマ氏への支持を増やしていった一般市民たちが、オバマ氏当選後も、そうした経験を、具体的な政治・社会参加活動に結びつけている様子が興味深いです。政治のリーダーが若ければいいとは必ずしも思いませんが、このあたりは、ブラックベリーを手放さないデジタル世代のオバマ氏とそのスタッフならではの、新鮮な動きだと思います。テクノロジー関連を担当する政権スタッフも一ヶ月以内ぐらいに指名されるとのことです。