この記事の著者は、熟年離婚についての本を書いた人なのですが、記事のきっかけとなったのは、最近発表された、アル・ゴア元副大統領とティッパー夫人の離婚のニュース。政治の表舞台でもそれ以外でも、お互いへの尊敬と理解と愛情に満ちた理想的な夫婦だというイメージが強かったので、離婚にいたったいきさつについていろいろな憶測が巻いていますが、本人たちは、プライベートな決断だとして余計なコメントなどは一切せず、威厳と品格を保っています。
離婚をするのは、訳もわからないうちに勢いで結婚してしまった若者が、数年以内に「こりゃいかん」と思って別れるか、あるいは中年や熟年になってからの離婚については、男性のほうが若い女性とくっついたことが原因で、残された妻は孤独で惨めな余生を送るようになる、というイメージが強いけれども、この記事によると、じっさいには、離婚率がもっとも上がっているのは中年・熟年層だそうです。そして、40代から60代で離婚を決めるカップルのうちの過半数は、女性のほうから離婚を言い出している。さらに、そうして離婚した中高年の女性が、再婚したいと希望すれば、たいていの場合は新しいパートナーを見つけることに成功している、とのことです。
そして、この著者の調査によると、20年間から60年間も続いた結婚生活に終止符を打った中高年男女は、離婚とは失敗・落胆・恥ではなく、自由とコントロールを取り戻す機会と捉えているそうです。子育てが一段落した女性は家族の面倒をみることが中心の生活からの自由を求める。男性は、じゅうぶんに自分に尊敬や感謝の気持ちを示してくれない妻や子供を養う生活から解放を求める。そして男性も女性も、自分に向き合う時間を求める。人生が無限に続くわけではないということを実感する年齢になった男女は、結婚生活に疑問を感じ始めたら今なんとかしなければ残りの人生が見えている、という気持ちもあって、離婚に踏み切り、そして離婚したことについては後悔していない。そして、新たなパートナーを見つけたいと思っている人は、男性も女性も、離婚からほどなくしてそれを実現している、とのことです。
なかなか考えさせられることが多いですねえ。『セックス・アンド・ザ・シティ2』も、こうした中年の現実に、もうちょっと深みとニュアンスをもって取り組んでほしかった。