2010年7月10日土曜日

中高クラブ活動に「?」

昨日、中学高校時代の親友と一緒に、母校を訪問に行きました。もうほんの一握りしか残っていないけれども私たちが教わった先生がたがまだいらっしゃるあいだに、私の新著を持って遊びに行こうと思って行ったのですが、一緒に行った友達は子どもが今同じ学校に通っているし、同級生のひとりがその学校で国語の先生をしているしで、別の視点からも母校をのぞくことができて、なかなか興味深い体験でした。

で、巨大なキャンパス(私の母校はもともと山や田んぼに囲まれた土地にあるマンモス校なのですが、今では幼稚園から大学まである一大複合体となっています)を歩き回っている途中、女子のクラブ活動を少し観察し、なんだかとても複雑な気持ちになりました。いっぽうで、スポーツであれ音楽であれ美術や文芸であれ、中高生がクラブ活動に熱中している姿というのは、とてもすがすがしくて心打たれるものがあります。とくに、チームスポーツの規律や結束は見事だし、大きくかけ声をかけ合いながら、決まった動きに沿って練習する様子は、思わずじーっと見入ってしまいます。また、女子のダンス部の練習を見ていると、明らかに私の世代とは身体の動かし方が違うのに新鮮な驚きを覚えます。私たちの頃は、どんなに運動神経がよかったりセクシーだったりする人でも、ああいう身体の使い方はしなかったよなーと思うような動きとリズムで、感心してしまいます。

そのいっぽうで、多くのクラブ活動、とくに運動部の活動に見られる、先輩と後輩の上下関係には、ぎょっとするものを感じます。授業や交友関係は同級生とばかりなので、クラブ活動を通じて学年を超えた活動や人間関係を経験するのはいいことだと思いますが、たったひとつかふたつしか年の違わない上級生が、やたらとエラそうな口調で下級生に指導したり、うまくできないとものすごい勢いで怒ったり、そしてまた下級生が従順に「ハイッ!」と声を揃えて先輩の指図に従ったりという様子を見て、「あー、だから私はクラブ活動というものをほとんどやらなかったんだ(少しだけやったときも、同学年の数人しかいない、クラブというよりサークルのようなものだった)」と思い出しました。私の友達にも、「クラブでは先輩がいばっていて理不尽なことを下級生にやらせてばかりいた」というような思い出のある人がたくさんいます。

中学生や高校生のときから、あんなふうに強固な上下関係を自明のものとして、単に学年が上であるというだけで上級生が下級生を叱ったり(あることを上手にやろうとしているのだから、叱るべきときというのももちろんたくさんあるでしょうが、叱るにしたって建設的でやる気を促すような叱り方というものがあるだろうに、なんだかやたらと高圧的だったりする)、自由な発言や話し合いが許されない雰囲気であったり、そうした環境のなかで自分の役割をきちんと演じることばかりに一生懸命になっていたら、やはり長期的にはそれが社会生活にも延長されるだろうと思うと、そら恐ろしい気持ちになります。あれはちょっとどうにかならないんでしょうか。学年にかかわらずその活動で実力のある人はよきリーダーとしてのありかたを学び、一般部員は友好的で結束力のあるグループの雰囲気を作りながらお互いの力を伸ばし合うにはどうしたらいいか、全員で知恵を出し合って話し合って決める、というふうであれば、意味のあるチームワークや年齢を超えた活動というものが身につくと思うのですが、多くのクラブ活動では既存の体制や方法を無批判に実行するだけの人間が育つように思えてなりません。ちょっとおそろしい。