ハワイ大学アメリカ研究学部教授、吉原真里のブログです。『ドット・コム・ラヴァーズーーネットで出会うアメリカの女と男』(中公新書、2008年)刊行を機に、アメリカのインターネット文化や恋愛・結婚・人間関係、また、大学での仕事、ハワイでの生活、そしてアメリカ文化・社会一般についての話題を掲載することを目的に始めました。諸般の事情により、2014年春から2年半ほど投稿を中止していましたが、ドナルド•トランプ氏の大統領選当選の衝撃で長い冬眠より覚め、ブログを再開することにしました。
2008年10月22日水曜日
ネット恋愛もろもろ
友達が、こういう記事を送ってくれました。いわゆるオンライン・デーティングの他にもネットを介した出会いや恋愛はいろんな形であるのは知っていましたが、なるほどこれはなかなか面白いです。飛行機や電車やエレベーターのなかで素敵な人と目があったり少し会話をしたりしたものの、名前や電話番号を聞き出す勇気や時間がなかった、しかしその相手がとても印象的で忘れられない、といったときに、インターネット・サイトを使ってその相手を探し出し、再会・交際・恋愛にいたる、というパターンが、けっこうあるらしいのです。こうやって出会って結婚したカップルの写真まで載っています。世界じゅうのいろんな街で、アパートやベビーシッター、バンドのメンバーや家具まで、なんでも探せるcraigslistには、個人広告の欄があって、一夜の情事を求める人たちのコーナーもあり(なかなかスゴいです)、このcraigslistを使って探す人もいますが、その他にも、その名もなんとsubwaycrush.com(『新潮45』の私の新連載を読んでくださったかたには、crushとはなんのことだかわかりますねー。とても実用性のある連載でしょ?(笑))とかisawyou.comとかkizmeet.comとか、「やっぱりもう一度会いたい」相手を探すための専用のサイトまである、ということを私もこの記事で初めて知りました。今これらのサイトをちょっと見てみましたが、とても面白い!「何月何日何時頃、x駅からy駅までのz線に乗っていた、黒い服を着ていた茶色い髪の素敵な女性、ぜひメールください」といったようなメッセージがたくさんあるのです。公共交通機関での移動が普通で、かつ赤の他人とはあまり会話をしにくい日本では、けっこうこれは流行るんじゃないでしょうか。
2008年10月20日月曜日
Musicians from a Different Shoreペーパーバック発売
私の英語の著書、Musicians from a Different Shore: Asians and Asian Americans in Classical Musicのペーパーバック版が発売になりました。
『ドット・コム・ラヴァーズ』で、私が「サバティカル」中にニューヨークでいろんな男性とデートをした、と書いたので、読者のなかには、「サバティカル」というのは楽しい休暇だと思ってしまっている人がいるようですが、それは大きな間違いですよ!サバティカルというのは、あくまで、本来学者の中心業務である研究活動に集中するために与えられた仕事期間です。『ドット・コム・ラヴァーズ』の本題からはそれるので少ししか言及しませんでしたが、私が2003年から2004年にかけてニューヨークに住んでいたのは、アジア人と西洋クラシック音楽についての研究をするためで、音楽家のインタビューをしたり、レッスンやマスタークラスの観察をしたり、図書館で調べものをしたり、また私自身ピアノにふたたび取り組んだりと、毎日研究活動に勤しむあいまに、ときどきデートをしていたわけです。ホントですよ。その一年間にせっせとリサーチをした成果が、このMusicians from a Different Shoreになったわけです。昨年の刊行時はハードカバーだけでしたが、大学の授業で教科書として使われることをねらって、このたびペーパーバックが出ました。ハードカバーよりはかなりお手頃な値段で買えますので、興味のあるかたはどうぞ。
ちなみに、この本と『ドット・コム・ラヴァーズ』の両方に登場する人物は、ひとりだけいます。
2008年10月18日土曜日
『新潮45』新連載
ただいま、学会でニューメキシコ州のアルバカーキという街に来ています。学会の最中は基本的に会場のホテルとその周辺しか見ないので、街の様子などはあまりわからないのですが、この学会が行われているダウンタウンを見るかぎり、アルバカーキというのはとても閑散とした街に見えます。ダウンタウンだというのに昼間も夜もほとんど人通りがなくて、まるでゴーストタウンのようです。一昨日は友達とレンタカーをして一時間ほど離れたサンタフェまでドライブしました。砂漠と山がひたすら続く風景は、ハワイとはまるで違って、アメリカというのは本当に広い国だなあと思います。
さて、18日に発売になった『新潮45』11月号に、私の書いた文章が載っています。「恋愛単語で知るアメリカ」というエッセーで、恋愛にちなんだ英語表現、とくに、アメリカでは日常的に使うのに日本の学校ではまず習わないような表現について、それらが使われる状況やさまざまな用法を解説しながら、現代アメリカ文化の一端をのぞく、という主旨のエッセーです。今月号で扱っているのは、たとえば、crush, flirt, see, intimacy, commitment, baggageなど。なんのことだかわかりますか?このエッセーは、今月号から始まってしばらく連載することになっています。『ドット・コム・ラヴァーズ』を読んだかたには、なかなか面白い内容だと思うので、ぜひ読んでみてください。『新潮45』は、今月号から総合雑誌として全面リニューアルです。