ハワイはなにしろ地理的にアメリカ本土から隔離された周縁にあり、人口100万人強で数の上でも合衆国の政治へのインパクトが比較的少ないため、大統領候補が選挙活動中にハワイまでキャンペーンにやってくることはまずありません。歴史も、人種・民族構成も、文化もアメリカ本土とは大きく違うハワイでは、ワシントンを中心とする合衆国政治は、自国のこととはいえ、自分たちの日常生活とはかなりかけ離れたものという感覚をもっている人が多いのですが、ハワイを「故郷」とするオバマ氏が大統領選出馬は、ハワイの人々には大きな熱気を巻き起こしています。とはいえ、『ドット・コム・ラヴァーズ』でも書いたように、ハワイの「ローカル」というアイデンティティはなかなか複雑なものがあり、ハワイで生まれ育ったからといって、誰もが「ローカル」を名乗れるわけではありません。とくに、ケニア人の父とカンザス出身の白人の母のもとに生まれ、ハワイでトップと考えられている名門私立校に通い、子供時代の一部をインドネシアで過ごしたオバマ氏のバックグラウンドは、ハワイで一般に理解されている「ローカル」アイデンティティとは大きく違うものです。オバマ氏を「ハワイ出身」としてお祭り騒ぎをするのはたやすいが、はたしてハワイで生まれ育ったこととオバマ氏の政策や理念とどんな関係があるのか、きちんと考えて議論するべきだ、と多少冷ややかな目で見る人ももちろんいます。
ハワイ云々は別にしても、私自身はオバマ氏が大統領になることを強く願っています。ハワイで大統領候補を直に見られることはそうないので、オバマ氏ハワイ滞在中の唯一の公開イベントである昨日の集会に行ってみようと、会場である空港近くの公園のほうまで出かけたものの、あまりにも道が混雑していて車を停めるところもなさそうだったし、待ち時間が何時間にもなりそうだったので(実際、仮に車が停められていても、オバマ氏が登場するまで3時間以上あったらしいです)、あっさりと諦めて戻ってきました。その集会の様子は、こちらでどうぞ。
また、昨日は、民主党大統領候補に出馬していた、ジョン・エドワーズ上院議員が、2006年にキャンペーンのスタッフと不倫をしていたというニュースが発表されて大騒ぎになりました。私は、貧困や医療といった問題にもっとも真剣に取り組んでいる(と私には思えた)エドワーズ氏の政策には一番共感していて、彼がオバマ氏のもとで副大統領候補になればいいと思っていたので、おそらくこのスキャンダルでその可能性がなくなってしまうであろうことは、とても残念です。とほほ。