ホノルルに戻ってきてからとてつもない時差ぼけに悩まされていて、やっと夜に眠れるようになったと思ったら、明日の夜にはテキサスに向けて出発します。ハワイでの10日間にやらなければいけないことがたくさんあり、私の留守中にマンションを借りてくれる人のために部屋を掃除もしなければいけないのに、まるで準備ができておらず、本当に明日出発できるのだろうかと不安が膨らみます。
忙しい理由のひとつは、ただ今ホノルルで開催中の、アロハ国際ピアノフェスティバルというイベントの一部の企画運営のお手伝いをしていたからです。このフェスティバルは、ハワイ育ちで日米のそれぞれで演奏活動をしているピアニスト、リサ・ナカミチさんが運営しているもので、今年が7年目。子供から大学レベルまでのピアノを学ぶ生徒たちのためのコンクールや、マスタークラス、ゲストアーティストによるコンサートなど、盛りだくさんな一週間のイベントなのですが、私は去年のテキサスでのアマチュアコンクールの経験から、このフェスティバルにも大人のアマチュア部門を作ったらいいのではと思いつき、リサさんと知り合った際に提案してみたところ、自分が企画運営をすることに(本業の大学の仕事でもそうですが、なにかいいことを思いついた場合には、それを自分で遂行する意思がなければ提案すべきではないのです:))。とはいえ、今年は計画を始めた時期が遅すぎて、大勢の参加者を集めての本格的なイベントはできないのがわかっていたので、とりあえずはトライアルとして、数人の参加者による一日だけのプログラムを開催しました。エネルギッシュでもあり繊細でもあり独創的でもある演奏をするSara Buechnerによるマスタークラスに加え、コンクールの入賞者によるコンサートでもアマチュア参加者が演奏。ふだん定期的なレッスンを受けたり、人前で演奏したりする機会や時間はないけれども、ピアノを愛する気持ちは誰にも負けない、という大人たちに、こうした場を提供するのはとても意味のあることだし、実際に参加者もとても喜んでくれて、提案した甲斐がありました。なにより、こういう場でピアノを通じて生まれる新しい人間関係が素晴らしいのであります。今回のアマチュアプログラムは昨日でおしまいですが、フェスティバル自体はこれから1週間続きますので、ホノルル在住のかたはぜひコンサートやマスタークラスをのぞきに行ってみてください。来年からは、アマチュアのコンクールも含む(とはいっても、クライバーンのアマチュアコンクールのよなものとは違った趣向にするつもり)もっと大きなイベントを企画するつもりですので、ピアノ愛好家のかたは、ハワイでのバケーションを兼ねて是非ご参加ください。詳しいことが決まり次第またこのブログでも宣伝いたします。
ちなみに、このフェスティバルのコンクールの高校生部門では、カリフォルニアのJessie Wangさんと、去年このブログで紹介したミネソタでのPiano-e-competitionで4位に入賞した尾崎未空さんが優勝しました。未空さんとはパーティなどでもおしゃべりしましたが、まだ高校2年生なのにひとりでハワイにやってきて、積極的にゲストアーティストや他の参加者と交流している姿は、おおいに頼もしく、こうやってどんどん世界に出ていろいろな刺激を受けていけば、骨太のいい演奏家に成長していくことと思います。こういう若い人たちに触れられるのも、こうしたイベントに関わる喜びのひとつ。
と、企画運営の喜びをちらりと味わったところで、今度は自分が参加者としての楽しみを満喫するため、テキサスに出かけてきます。これについては、むこうに着いてからまたご報告します。
ハワイ大学アメリカ研究学部教授、吉原真里のブログです。『ドット・コム・ラヴァーズーーネットで出会うアメリカの女と男』(中公新書、2008年)刊行を機に、アメリカのインターネット文化や恋愛・結婚・人間関係、また、大学での仕事、ハワイでの生活、そしてアメリカ文化・社会一般についての話題を掲載することを目的に始めました。諸般の事情により、2014年春から2年半ほど投稿を中止していましたが、ドナルド•トランプ氏の大統領選当選の衝撃で長い冬眠より覚め、ブログを再開することにしました。
2012年6月18日月曜日
2012年6月4日月曜日
ヨルム・ソン ピアノ・リサイタル6/26(火)
兵庫の親戚を訪ねてから、週末は名古屋で学会に出て、東京に戻ってきました。私は日本ではほとんど学会に出席しないのですが、行くたびに、アメリカと発表のスタイルにあまりに違いがあるので面食らうことしきり。アメリカだって、ぼそぼそだらだら話す発表者ももちろんいるのですが、日本で私が困惑するのが、「レジュメ」と「パワポ」。なぜにああやたらめったらと文字を詰め込んだものを配布したり画面表示したりするのか。あんなものを配られたら、聴衆はどうしたって皆じーっと下を向いて文字を追わずにはいられないし、そうすると肝心の発表を聴くことに集中できない。でも、集中して聴いてみても、レジュメに書かれていることを補足したり明確にしたりするようなことは言われていないことが多い。だったら口答発表などせずに、論文なりなんなりの形で発表すれば済むことなのでは?それに、初めから与えられた時間が決まっているのに、なぜその時間内におさまる発表を準備せずに、いつまでもだらだらと要旨不明のことを話し続けるのか?聴衆になにかを伝えるという意思があまりにも欠如していて、私などはイライラを通り越して憤慨してしまうことも。など、人の発表に文句ばかりつけておいて、自分の発表はどうだったかと言われると、別にたいしたことはしていないのですが、少なくとも時間内にはおさまるようにまとめ、聴衆の顔を見て語りかけるようには心がけました!
まるで関係ないですが、昨日は新国立劇場で、平野啓一郎翻訳・宮本亜門演出の演劇『サロメ』を観てきました。サロメというと、妖艶で官能的な悪女、といったイメージが先行しますが、この演出では、多部未華子が演じるサロメは若くて清純無垢なヒロインとなっています。舞台セットも真っ白。なんとも新鮮で斬新な解釈となっていて、なかなか面白かったです。今回の日本滞在では、飲み会その他の予定が詰まり過ぎていて、コンサートや劇などを観に行く時間がなく、これが唯一の観劇でしたが、やはり行ってよかった。
さて、今朝の日経新聞に広告が載っていたのですが、ピアニストのヨルム・ソンの来日公演が今月末にあります。『ヴァンクライバーン 国際ピアノコンクール』で詳しく紹介した通り、彼女は2009年のクライバーン・コンクールで迫力と表現力に満ちた演奏をし、辻井伸行さんとハオチェン・チャンに次いで2位を獲得。去年のチャイコフスキー・コンクールでも2位に入賞。とにかくものすごく幅のある音楽性とスタミナの持ち主で、末永く聴衆に語りかける芸術家としてキャリアを築いていくことと思います。私は今週ハワイに戻ってしまうので残念ながら行けませんが(私が今月後半に参加するテキサスでのピアノ・フェスティバルでも彼女は演奏するのですが、私が参加する時期と重ならず残念)、都合のつくかたは是非とも聴きに行ってみてください。今日の時点でまだチケットが残っているそうです。これを聴かないのはもったいない!
まるで関係ないですが、昨日は新国立劇場で、平野啓一郎翻訳・宮本亜門演出の演劇『サロメ』を観てきました。サロメというと、妖艶で官能的な悪女、といったイメージが先行しますが、この演出では、多部未華子が演じるサロメは若くて清純無垢なヒロインとなっています。舞台セットも真っ白。なんとも新鮮で斬新な解釈となっていて、なかなか面白かったです。今回の日本滞在では、飲み会その他の予定が詰まり過ぎていて、コンサートや劇などを観に行く時間がなく、これが唯一の観劇でしたが、やはり行ってよかった。
さて、今朝の日経新聞に広告が載っていたのですが、ピアニストのヨルム・ソンの来日公演が今月末にあります。『ヴァンクライバーン 国際ピアノコンクール』で詳しく紹介した通り、彼女は2009年のクライバーン・コンクールで迫力と表現力に満ちた演奏をし、辻井伸行さんとハオチェン・チャンに次いで2位を獲得。去年のチャイコフスキー・コンクールでも2位に入賞。とにかくものすごく幅のある音楽性とスタミナの持ち主で、末永く聴衆に語りかける芸術家としてキャリアを築いていくことと思います。私は今週ハワイに戻ってしまうので残念ながら行けませんが(私が今月後半に参加するテキサスでのピアノ・フェスティバルでも彼女は演奏するのですが、私が参加する時期と重ならず残念)、都合のつくかたは是非とも聴きに行ってみてください。今日の時点でまだチケットが残っているそうです。これを聴かないのはもったいない!