この法案は、自らがゲイであることを公表した初のカリフォルニア州上院議員であるマーク・レノ氏によって提出されました。カリフォルニアでは、黒人や女性の歴史はすでに必修カリキュラムの一部となっていたにもかかわらず、現在まで、このブログでも以前に言及した活動家ハーヴェイ・ミルク氏などの同性愛者については、教科書でほとんど触れられていませんでした。2006年に今回と同様の法案が議会を通過したにもかかわらず、当時の共和党知事シュワルツネッガー氏が拒否権を行使して法案はボツになったという経緯がありましたが、今回は民主党の知事となり、また、ゲイの10代の若者の自殺が相次ぐといった状況のなかで、この法案を支持する動きが強くなっていました。同性愛者はコミュニティのきちんとした一員であって、立派な社会貢献をしてきている、ということを学校で学ぶことによって、偏見やいじめをなくし、人々の多様性を重んじる精神を育む、という意図の法案。もちろん、反対派は、特定の見方を子どもたちに強要するものであると抗議をしていますし、このような動きはゲイへの偏見をかえって強める可能性もあるとの見方もあり、実際に学校でどのように指導や議論がなされていくのかは今後注目すべきところです。が、同性愛のことに限らず、若いうちから、世の中にはいろいろな人たちがいるということ、そうした「いろいろな人たち」が自分のすぐ周りにもいるということを知り、また、自分たちの身体やセクシュアリティについて健全な思いをもつようになる教育がなされることは、どこの社会でもとても重要だと思います。