2013年11月9日土曜日

同性婚法案、ハワイ州議会上下両院を通過

ここ数週間ハワイで最大の話題になっていたのが、州議会の特別会期で審議されているSB1同性婚法案。結果からいうと、昨晩、下院で審議されていた法案が30対19で通過し、すでに法案を通過させた上院と修正案などの具体点をめぐる交渉が来週なされ、正式に同性婚が可能になる模様です。

数年前に、法的な結婚とは違うものの同様のさまざまな権利や保護を同性同士のカップルに付与するシヴィル・ユニオンがハワイで制度化されたことはこのブログでも報告しましたが、これはシヴィル・ユニオンではカバーされない領域を含む、異性者同士の結婚と同じ「結婚」を同性者にも可能にするものです。ここ数年間で、アメリカ全体における同性愛をめぐる世論は確実に変化し、同性婚を認める州も次々に出てきていますが、ハワイでも同様。州議会のリーダーたちが同性婚を支持するようになってきたこと、また、Neil Abercrombie州知事が支持を表明していることから、州議会の特別会期が開催され、上院で提出された法案は難なく通過、その後、先週から下院で審議がされていました。この際、委員会の公聴会で、一般市民が証言をする機会を与えられたことから、何千人という市民が計50時間以上(ひとりに与えられる時間は2分間)にわたって議員たちの前で証言をしました。私は意見文を書面で提出しただけで実際に証言はしませんでしたが、私の友人や学生のなかにも、何時間も自分の順番を待って発言した人たちが何人もいます。

特別会期開催が決まった頃から、法案自体は通過がほぼ確実といわれていたものの、一般市民の証言の実況中継をネットでしばらく見ていると、ふだんの生活のなかでは浮上しない分裂が浮き彫りになり、とても暗い気持ちになりました。法案を支持するさまざまな人々(自身が同性愛者であるという人ももちろんたくさんいますが、そうでない人もたくさん証言しました)が、権利の平等を主張するいっぽうで、反対派の人々(そのほとんどが一部の保守キリスト教団体に属する人々)は、同性愛は神の意思や自然の摂理に反するもので、同性愛者に結婚を許すことは家族という形態ひいては社会全体の崩壊につながる、と説く。数年前のシヴィル・ユニオンの議論のときと比べると、同性愛を小児愛症や屍姦症などと結びつけて憎悪に満ちた攻撃をするといった類の発言は減り、むしろ、「私は同性愛者の同胞にも愛情をもっています。でもだからといって同性愛者の人たちが結婚するべきかというと、それは間違っています。結婚というのは男性と女性のあいだでなされるものです」という種類の証言が続きました。また、州議事堂の前には連日法案反対派の人たちがたくさん集まって道ゆく車に向かってLet the People Decide、つまり、この問題は議会での投票ではなく住民の直接投票によって決定されるべき、というプラカードを掲げていました。

昨日は朝から夜遅くまで州議事堂のまわり法案に賛成する人々・反対する人々の両方が多数集まり、私も午後1時間ほど行ってきました。





支持派は、ゲイ・プライドの象徴である虹色のカラフルな旗を振り回し、人々は虹色のレイを首にかけ、ポップな音楽を大音量でかけて、道行く車に向かって大きく手を振り声をかけながら歌ったり踊ったりして、一大パーティのようでした。

反対派ももちろん数多く集まって、審議がおこなわれている議事堂のなかにむかって抗議の意を表明していましたが、この日はレインボーカラーの元気に押され気味だった模様。この後、法案が正式に成立し、ハワイが同性婚を認める第16の州となれば、さらなる抵抗があるでしょうが、同性愛をめぐる感性や世論が徐々に変化していることは確実。

キリスト教の教義を主張して法案に反対する人々に向けた、Kaniela Ing議員の発言がとても立派だったので、以下紹介しておきます。