兵庫の親戚を訪ねてから、週末は名古屋で学会に出て、東京に戻ってきました。私は日本ではほとんど学会に出席しないのですが、行くたびに、アメリカと発表のスタイルにあまりに違いがあるので面食らうことしきり。アメリカだって、ぼそぼそだらだら話す発表者ももちろんいるのですが、日本で私が困惑するのが、「レジュメ」と「パワポ」。なぜにああやたらめったらと文字を詰め込んだものを配布したり画面表示したりするのか。あんなものを配られたら、聴衆はどうしたって皆じーっと下を向いて文字を追わずにはいられないし、そうすると肝心の発表を聴くことに集中できない。でも、集中して聴いてみても、レジュメに書かれていることを補足したり明確にしたりするようなことは言われていないことが多い。だったら口答発表などせずに、論文なりなんなりの形で発表すれば済むことなのでは?それに、初めから与えられた時間が決まっているのに、なぜその時間内におさまる発表を準備せずに、いつまでもだらだらと要旨不明のことを話し続けるのか?聴衆になにかを伝えるという意思があまりにも欠如していて、私などはイライラを通り越して憤慨してしまうことも。など、人の発表に文句ばかりつけておいて、自分の発表はどうだったかと言われると、別にたいしたことはしていないのですが、少なくとも時間内にはおさまるようにまとめ、聴衆の顔を見て語りかけるようには心がけました!
まるで関係ないですが、昨日は新国立劇場で、平野啓一郎翻訳・宮本亜門演出の演劇『サロメ』を観てきました。サロメというと、妖艶で官能的な悪女、といったイメージが先行しますが、この演出では、多部未華子が演じるサロメは若くて清純無垢なヒロインとなっています。舞台セットも真っ白。なんとも新鮮で斬新な解釈となっていて、なかなか面白かったです。今回の日本滞在では、飲み会その他の予定が詰まり過ぎていて、コンサートや劇などを観に行く時間がなく、これが唯一の観劇でしたが、やはり行ってよかった。
さて、今朝の日経新聞に広告が載っていたのですが、ピアニストのヨルム・ソンの来日公演が今月末にあります。『ヴァンクライバーン 国際ピアノコンクール』で詳しく紹介した通り、彼女は2009年のクライバーン・コンクールで迫力と表現力に満ちた演奏をし、辻井伸行さんとハオチェン・チャンに次いで2位を獲得。去年のチャイコフスキー・コンクールでも2位に入賞。とにかくものすごく幅のある音楽性とスタミナの持ち主で、末永く聴衆に語りかける芸術家としてキャリアを築いていくことと思います。私は今週ハワイに戻ってしまうので残念ながら行けませんが(私が今月後半に参加するテキサスでのピアノ・フェスティバルでも彼女は演奏するのですが、私が参加する時期と重ならず残念)、都合のつくかたは是非とも聴きに行ってみてください。今日の時点でまだチケットが残っているそうです。これを聴かないのはもったいない!