2014年2月7日金曜日

平等な夫婦はセックスを(あまり)しない?

たいへんご無沙汰いたしました。年が明けて、晴れて学部長代理の役割を離れたので、嬉しくてたまらず、自分の新しいプロジェクトのための研究・執筆に日々(とはいっても、やはり授業や大学院生の指導そして学務の雑用はつねにあるので、毎日できるわけではないですが)取り組んでいます。

久しぶりの投稿がこのネタ、というのもなんなのですが、ニューヨーク・タイムズ・マガジンのこの記事がちょっと面白かったので紹介します。タイトルからして、Does More Equal Marriage Mean Less Sex? すなわち、「より平等な結婚は、セックスの頻度の低下を意味する?」統計によると、現在アメリカにおいて、18歳未満の子供がいる夫婦の64パーセントは共働き。共働きの夫婦が増えるにつれて、経済力や家事・子育ての役割分担などにおける男女の差は縮まり、夫婦関係がより均衡なものになっている。そして、とくに若い世代においては、男女ともにこうした傾向を肯定的にとらえており、夫婦それぞれが仕事で活躍し、家事を平等に分担し、趣味や交友関係を共有する、平等な結婚生活を目指している。しかし、そうしたなかでひとつ、意外な結果が生まれている、とのこと。

去年発表されたある社会学の調査によると、家事をより平等に分担している夫婦のうち、とくに「一般的には女性の役割」とされているような家事—洗濯物をたたむ、料理、掃除機をかける、など—を男性がしている夫婦は、より「男性的」な家事—ゴミ出し、車の修理、など—を男性がしている夫婦に比べて、性行為の頻度が1.5倍低い、との結果が出ているらしい。しかも、これは頻度だけの問題ではない。より「男性的」な家事を男性がしている夫婦のほうが、女性の性的な満足度も高い、とのこと。なんと!

もちろん、こうした数字をあまり額面通りに受け取るのは問題。こうしたデータ収集は、被調査者の自己申告にもとづいて行われるので、質問に答える人が必ずしも事実を言うとは限らないし、「性的満足度」といった質問にかんしては、その質問がなされた状況によって答えかたが変わってくる可能性もじゅうぶんある。そしてまた、相関関係を因果関係と混同してはいけないので、「夫婦関係を平等にすると、セックスが(あまり)なくなる」と結論づけるのも間違っている。しかし、そうしたことを考慮にいれてある程度差し引いて考えるとしても、この調査の結果にはある程度の真実がある、と、夫婦を相手にするサイコセラピストであるこの記事の著者はいう。

たしかに、男性が女性を対等の人間として扱い、さまざまな家事を積極的にやってくれるほうが、女性の満足度は高くなる。いつも女性にばかり面倒な雑事を押し付ける男性には、女性は性的魅力を感じなくなるのは当然。しかしそのいっぽうで、男性が台所の掃除や食料の買い出しをせっせとしてくれたからといって、そのぶん女性が男性に性的な魅力を感じるようになるかというと、そういうわけでもない、と。

この状況についてのひとつの説明は、「ジェンダー(性への社会的・文化的意味づけ)差がなくなるにつれ、性的な欲求は低くなる」というもの。キンゼイ研究所のある調査によると、一般的にゲイのカップルはレズビアンのカップルよりも性行為の頻度が高い。そして、より頻繁にセックスをするゲイのカップルは、性的に自分と違った趣味(性行為においてリードする側かされる側か、など)の相手を選んでいることが多い。それに対して、レズビアンのカップルは、そのように性的に自分と対照的な相手を選ぶ、といった傾向が少ない。

もちろん、セックスの頻度が低いからといって、そうした夫婦の幸せ度が低い、というわけではない。とくに女性にとっては、男性が家事や子育てを分担してくれることのほうが、男性の収入や共通の信仰などよりもずっと、結婚における満足度に貢献する、という調査結果もある。また、男性が家事をまったくしない夫婦と比べると、男性もなんらかの家事を分担している夫婦のほうが、セックスの頻度は17.5パーセント高い。ただ、どんな家事をするかが鍵となっているらしく、伝統的に「男がするもの」「女がするもの」とされている行為は、「男らしさ」「女らしさ」ひいては「男性的魅力」「女性的魅力」と結びつく。そして、男性も女性も、相手を性的に惹き付けるためには、自分と相手の相違をアピールする。ゆえに、家事などの社会的・文化的役割において、男女の差が縮まれば縮まるほど、「他者」への吸引力が減る、というのだ。ムムム。(この記事の残りの半分くらいに、他にもいろいろと興味深いことが書いてあるのですが、ここでは省略します。)

そうかあ〜。そうなのかなあ〜。でも、私の友達(ゲイの男性)があるときプレゼントしてくれた、女性に人気のオモシロ本は、Porn for Women。むっちゃカッコいい男性が、積極的にこちらの話に興味をもって聞いてくれたり、女性の家族や友達と一緒に時間を過ごそうとしてくれるだけでなく、みずからすすんで掃除や洗濯をしたり、料理の腕をふるってくれたりする、その様子を、写真と台詞で並べた本。ポルノといっても、上半身裸だったり下着姿だったりする写真が数点あるほかは、男性はすべて服を着ている。つまり、女性にとって性的に魅力的な男性というのは、こういう男性ですよ、ということ。ちなみに、この本を編集・刊行しているのは、The Cambridge Women's Pornography Cooperative (CWPC)という女性団体。本の後ろにある文章によると、この団体は、「『ポルノグラフィ』という単語を、金のネックレス、胸毛たっぷりの上半身、レジャースーツ、大きな口を開けたバカ、といった従来のイメージから解放し、我々のものにすることを使命としています」とのこと。さらに、「学界、医学界、メディア界などでは、ユーモアのセンスがじゅうぶんに発達していない人たちもまだいると思われるので、現時点ではCWPCは会員名簿を公開してはいません。この本が、そうしたユーモアのセンスを培う一助となることを願っています」とのこと。いいなあ、こういうの。でも、上記の調査によると、こうした「ポルノ」観はあくまで理想で、現実の男女の性的欲求とは合致していないということなのか?ウ〜ム...

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