2012年11月7日水曜日

選挙あれこれ

昨日は朝一番で投票に行ってから、結果が出るまでの数時間は仕事をしようと一応コンピューターに向かったものの気が気でなく、インターネットで選挙情報ばかりチェックする状態で結局ほとんどなにも達成しないままに終わり、夕方からは我が家に友達が集まってみんなでテレビを見ながらの「Four More Years Party」をしました。オハイオ州のおかげで意外に早く結果が出て、CNNがオバマ再選を宣言した時点でシャンペンを一本あけ、ロムニー氏が敗北宣言をした時点でもう一本あけ、オバマ大統領の再選スピーチの時点でもう一本。みんな、たぶん大丈夫だろうと思いながらも、万が一のことになったらどうしようという不安も抱えていたので、仲間とともにこのときを共有するのはとても心強く、(これは結果がよかったからですが)楽しいものです。我が家に限らず、私のまわりでは各地で選挙ウオッチングパーティが行われていましたが、このように選挙の結果をみんなで一緒に見守る、という文化は、やはりなんだかんだいって政治というものへの期待や希望が健在だからこそのものではないでしょうか。日本では、立候補している人が自分の身内や友達ならば、その人を囲んで選挙結果を見守るということはするでしょうが、そうでない一般の人たちがこのような「選挙パーティ」をして、シャンペンをあけたり冷や汗や涙を流す、という光景はあまり想像できないのでは。

さて、オバマ大統領の再選には本当にほっとしたものの、議会の関係はほとんど変化していないし、実際の投票数をみても、オバマ氏の大勝とはとてもいえないのが事実。オバマ大統領の勝利演説も、2008年の夢と希望に満ちたものとは種を異にするもので、現実の困難を前にした、実に厳粛でsoberingなものでした。「私はみなさんから多くのことを学び、みなさんの力でよりよい大統領になりました」という一言がさすが。(それにしても、チェルシー・クリントンのときもそうでしたが、オバマ大統領のふたりの娘、驚くほど大きくなったなあと、テレビを見ながらみんなで驚嘆しました。)

オバマ大統領再選については日本でもいくらでも報道されているでしょうから、選挙にかんするそれ以外の話題をいくつかご紹介します。

まず、ワタクシのお膝元ハワイでは、引退を表明したアカカ上院議員の後任ポストに、民主党のMazie Hirono下院議員と共和党のLinda Lingle元州知事が出馬していましたが、圧倒多数でHirono氏が当選しました。福島生まれで、8歳のときに母親とともにハワイに移民してきた彼女は、アジア人女性としては初の上院議員、また日本生まれの初の上院議員となります。また、ハワイ選出の下院議員には、日系のColleen Hanabusa氏とサモア生まれでヒンズー教徒のTulsi Gabbard氏のふたりの女性が当選。これによって、Daniel Inouye氏を含む4人のハワイ選出の上下両院の議員の全員が非白人、4人中3人が女性となります。また、ホノルル市では、もうずっと前から議論されている高架鉄道による公共交通網が市長選の争点となっているのですが、現行案に強く反対しているBen Cayetano元州知事はあっけなく落選(Cayetano氏は知事時代に公立教育への支援があまりにひどく、ハワイ大学および公立学校の教員がストライキをする事態になり、私も「ピケットキャプテン」をつとめた経験があるので、私もCayetano氏には投票せず)し、Kirk Caldwell氏が当選しました。

Mazie Hirono氏だけでなく、マサチューセッツ州のElizabeth Warren氏、同性愛者であることを公表している初の上院議員となるウィスコンシン州のTammy Baldwin氏などの当選によって、上院には史上最高の20人の女性議員が入ることが確定しています。下院でも現在の73人を上回る77人の女性議員が確定。レイプや中絶をめぐる共和党議員候補の極端な発言や、雇用における性差別にかんするロムニー氏の態度が大問題となっていましたが、これらの女性の当選は、政治におけるいわゆる「ガラスの天井」を打ち破るのに確かな一歩となっていると思います。

また、メイン州とメリーランド州では、同性婚を合法化する住民投票が通過し、住民投票によって同性婚が合法化される初のケースとなりました(これまで同性婚が合法化された州では、議会での立法または司法の判決による合法化でした)。これも、徐々にアメリカ国民の意識が変化していることの明るい印だと思います。

さらに、コロラド州とワシントン州では、娯楽目的でのマリファナの使用が合法化もされました。

というわけで、経済においても政治においてもけっして楽観するような状況ではないものの、悲観のあまりカナダに移住するような事態でもなく、「よし、頑張ろう」と気を引き締める、というのが今の現実。ともかく選挙で気が散ることはなくなったので、自分もアメリカも、平常心を取り戻してさまざまな仕事に集中せねば。ともかく、記念に、先日アラモアナ・ショッピングセンターで見つけたオバマグッズの写真を載せておきます。