2009年7月10日金曜日

『中央公論』8月号

10日発売の『中央公論』 8月号に、私の書いた「『盲目のピアニスト』から世界的芸術家へーー辻井伸行さん クライバーン・コンクールのもつ意味」という記事が載っています。このブログを読んでくださっているかたには既にお伝えしていることと内容が重なる部分も多いですが、よかったら是非読んでみてください。

ところで、私は今月21日から31日まで、東京大学教養学部で集中講義を担当します。「現代アメリカ女性史」です。9日間しかない授業なので、カバーできる内容はとても限られているのですが、1960年代後半からのいわゆる「第二次フェミニズム」から現在までの、アメリカ合衆国における女性史・ジェンダー関係史を概説します。扱うトピックは、(1)第二次フェミニズムの誕生の背景となった冷戦期アメリカの社会経済状況およびジェンダー・セクシュアリティの規範、(2)公民権運動などの社会運動とフェミニズムの関係、(3)第二次フェミニズムの理念・実践方法・リーダーたちの背景・功績、(4)第二次フェミニズムの一般アメリカ女性へのインパクト、(5)第二次フェミニズムへの批判と「第三次フェミニズム」「ポスト・フェミニズム」の台頭など。授業を通して、現代アメリカ女性の地位・意識・生活の全体像をとらえると同時に、ジェンダーやセクシュアリティが、人種や社会階層といった社会的カテゴリーとどのように絡み合っているかを考える、というのが目的です。私は日本で講演や学会発表をしたことはありますが、日本の大学で日本語で授業をするのは初めてなので、ちょっとどきどきです。このブログの読者に東大の在校生がいるかどうかわかりませんが、もし興味のある人がいたらどうぞ受講してください。ただし、「アメリカ式」に、毎日数十頁から百頁ほどの英語のリーディングを課し、学生には全員ディスカッションに積極的に参加することを要求しますので、そのつもりで来てください。履修者と同じ条件で参加するのであれば、聴講・「もぐり」も歓迎します。

なお、この集中講義の後、私は一年間日本に滞在します。ハワイ大学から日本に留学する学部生の引率で、桜美林大学を拠点にして仕事をします。日本には毎年一度は帰っているものの、長期生活するのは実に18年ぶりです。カルチャー・ショックを体験する学生の面倒をみるのが仕事なのですが、自分のほうが逆カルチャー・ショックにかかるのではないかと、これまたどきどきです。でも、私は現時点でちょうど人生の半分を日米のそれぞれで過ごしたことになるので、ここでちょっと日本に戻るのもバランスを保つのにいいかと思っています。また、ハワイの学生の目には日本がどう映るのだろうと、とても興味があります。日本滞在中、新しい仕事にもとりかかれるだろうと楽しみにしています。