今日7月4日は、アメリカは独立記念日の休日です。この日の典型的な過ごしかたは、自宅の庭や公演、ビーチなどに家族や友達と集まってバーベキューをし、夜は花火を見る、というものです。私ももうちょっとしてから、友達のマンションのベランダでワイキキの花火を見るために集まります。
前に言及したHBOの『ジョン・アダムス』を最近観たこともあって、ふと思い立って、1776年の今日宣言された(といっても、実際のこの文書の作成や署名の過程は、そんなにすっきりとキレイなものではなかったことが、このシリーズを見るとわかりますが)米国独立宣言を、再び読み返してみました。アメリカ研究を仕事にしている身としては恥ずかしながら、この文書をじっくり最初から最後まで読んだのは実にひさしぶりで、驚く発見も多く、こうした歴史の基本的文書はときおりこうしてじっくり読み返すことが重要であるということを改めて認識しました。私は小5から中1(アメリカでいえば6年生から8年生)までをアメリカで過ごしたので、アメリカの中学校の歴史の授業で、We hold these truths to be self-evidentで始まる2段落めと最終段落を暗唱させられたことは覚えていますが、そのあいだに列挙してある英国王への苦情の数々は、よくよく読んでみるとなんとも興味深いものが多いです。He has called together legislative bodies at places unusual, uncomfortable, and distant from the depository of their public Records, for the sole purpose of fatiguing them into compliance with his measures. とかHe has endeavoured to prevent the population of these States; for that purpose obstructing the Laws for Naturalization of Foreigners; refusing to pass others to encourage their migrations hither, and raising the conditions of new Appropriations of Lands.とかHe has erected a multitude of New Offices, and sent hither swarms of Officers to harrass our people, and eat out their substance.とか、最後のHe has excited domestic insurrections amongst us, and has endeavoured to bring on the inhabitants of our frontiers, the merciless Indian Savages, whose known rule of warfare, is an undistinguished destruction of all ages, sexes and conditions.とか。
もちろん、独立宣言が署名、発表されてめでたしめでたしとなったわけではまるでなく、独立革命は以後何年も続き、連邦制度を整えるのにはさらにずっと時間がかかり、イギリスやフランスとの関係も難しく、共和国設立の道のりは複雑で血にまみれたものでした。また、苦情の最後でIndian Savagesと表現されている先住民との戦いや殺戮、建国後百年近く続く奴隷制、選択的に与えられた帰化権や参政権など、アメリカ建国の歴史にはたくさんの汚点もあります。でも、この独立宣言にこめられたアメリカ建国の理念は、アメリカ国民も、そうでない世界中の人々も、ときおり熟読してみる価値があると、あらためて思いました。というわけで、時間のあるかたはぜひどうぞ。