2010年2月10日水曜日

ホノルルより

1週間ホノルルに(戻って)来ています。仕事と休暇を兼ねての滞在のつもりだったのですが、1週間しかないと昼間はほぼすべて仕事でつぶれてしまい、ゆっくり散歩に行ったりビーチに寝そべったり本屋に行ったりという時間は残念ながらとれそうもありません。が、青空で気温はつねに20度台、見渡すと青々とした緑や鮮やかな色の花がそこいらじゅうにあるという環境は、やはりたいへんありがたいものです。

12年ほど過ごしたホノルルに、半年間の日本生活を経てから戻ってくるのは、非常に不思議な感覚で、この感じをどう捉えていいものやら、自分で戸惑っているところです。ある意味では、住み慣れて勝手がかなりわかった場所に戻ってきて、とてもホッとするし、ホノルルはなにしろ小さな街なので、道を歩いているだけで知り合いに何人も会い、「ああ、ここには私の生活があるんだ」という気持ちになります。到着したその日の夜には、仲良し(『ドット・コム・ラヴァーズ』に出てくる「マイク」)が私の友達25人ほどを招いてパーティを開いてくれたりして、ここに自分の居場所がある、ということを実感もします。それと同時に、日常生活を構成するディテールやら、人間関係のありかたやら、なにもかもが、日本での私の暮らしとあまりにも違うので、「こちらの私」の生活にギアチェンジするのには、かなり大きな頭と心の転換が必要でもあります。「日本の私」と「アメリカ/ハワイの私」という2人の人間がいて、それぞれを構成する円はほんのちょびっとしか重なり合わない、そんな気持ちが、最近になってますます強まります。だからといって、とくに困ることもないし辛いこともないのですが、なんとなく戸惑ってしまうのは確かです。

それにしても、日本からホノルルに来て新鮮なことのひとつは、「人間というのは実にいろんな色や形やサイズをしているものだ」ということです。日本では見かけない「種類」ーーそれは、人種や民族ということもそうですが、それ以外にもいろいろーーの人間が実にたくさんいるので、日本にいると忘れがちな「世界は広い」ということを改めて認識します。

明日は、大学で『ドット・コム・ラヴァーズ』についての講演をします。アメリカのアカデミックな場でこの本について話すことは最近まで躊躇していたのですが、どんな反応があるか、楽しみなようなオソロしいような気持ちです。