2011年7月6日水曜日

ヒューマン・ライツ・ウォッチ チャリティ・ディナー

昨晩は、ホテルオークラで開催された、ヒューマン・ライツ・ウォッチチャリティ・ディナーに出席してきました。私はチャリティ・ディナーに自分で参加できるようなお財布事情ではないのですが、ヒューマン・ライツ・ウォッチの東京事務所代表を務めていて今メディア各方面で大活躍中の土井香苗さんと知り合いであることと、私より何十倍もお財布事情のよい友人(彼が私を土井香苗さんに紹介してくれた)がテーブルをまるごとひとつスポンサーしていて私をゲストとして招待してくれたことから、友達を何人も率いてこのディナーに出席することができ、たいへん貴重な体験をすることとなりました。

アメリカでは、社会運動をするNPOやオーケストラやオペラ(そしてもちろんクライバーン財団など)といった芸術団体など、さまざまな組織が資金集めをするために、いわゆるファンドレイジングのためのガラ・ディナーを開催することはよくあります。赤絨毯の上を歩いて会場に入る、まるで宮廷の舞踏会かと思うような豪華なものから、教会の庭や学校のグラウンドにテントをはって手作りの料理を食べるというものまで、規模はさまざま。私も、テント規模のファンドレイジングでならば、サイレントオークションで売るものを寄付(サイン入りの自分の著書、ちゃんと定価以上で落札されました)したこともあるし、ものを買ったこともあります(ワインとか、アクセサリーとか)。が、日本でもこうした種類のイベントがあるということは、よく認識していませんでした。でも、聞いてみたら、やはり日本ではこういう形のファンドレイジングは珍しいだろう、とのこと。今回の震災にあたってはもちろんですが、日本でもいろいろな団体に寄付をする人はいるけれど、苦しんでいる人たちを助ける資金を集めるために、こうした大々的なイベントで、着飾った人々がおいしいお食事をいただきながらお話や音楽を聴く、という形式はあまり日本には馴染まないのだろう、と。それもそうかもしれません。

でも、昨晩のディナーは、日本でも組織力のある団体はだんだんとこういう形の資金集めをするようになっていくのかもしれない、と思わせるような、素敵なイベントでした。ヒューマン・ライツ・ウォッチの活動をビデオなどで効果的に紹介し、エチオピア人権評議会の元事務局長として人権運動に携わってきたヨセフ・ムルゲタ弁護士を迎え賞を授与し、そして、ヒューマン・ライツ・ウォッチの資金を集めるためのオークションをする、という、たいへん充実したプログラム。プロのオークショニアによるライブオークションでは、それぞれのアイテムに何十万円という値段がどんどん競り上がっていってすべて落札されるし、中東や北アフリカでの調査ミッションのための募金や、日本での震災孤児たちの人権を守る活動のための募金は、それぞれ一口50万円、5万円という値段にもかかわらず、何十人もの人たちがためらわず手(正確には手ではなくオークションの番号のついた団扇型の札)を挙げる。そうかー、日本にもこういう場があって、こういう人たちがいるんだなあと、感心。日本も社会の格差化が進んでいるから、いるところにはお金持ちがたくさんいるのはわかっていたけれど、お金のある人が、自分の贅沢のためにだけお金を使うのではなく、こうした社会的な目的のためにも寛大にお金を出してくれるのだったら、それはもちろん立派なことで、おおいにやっていただきたい。そして、どんな高い志を掲げても、個人の善意だけでは世の中は動かない。社会を動かそうと思ったら、高い志と深い善意に加えて、専門的な知識と大きな財力(をもった人たちの人脈)と高度な組織力が必要。つまりは、「政治力」が必要。今の日本、本業の政治家たちにその政治力がまるっきりないのが明らかだけれども、こういうところで優秀かつビジョンのある人たち、しかも土井香苗さんのような若い人たち(すっかりオバサン根性になった私にとって、自分より若い人はみんな「若い人」:))が、これだけ立派な組織づくりをしていることには、心から脱帽します。私にはぽーんと寄付をするような財力はないけれど、なにか別の形で私なりの貢献ができたらと思っています。みなさまも、どうぞヒューマン・ライツ・ウォッチの活動を知り、支援してください。