2010年5月27日木曜日

ハワイと異人種間結婚

今日のホノルル・アドバタイザー紙に、異人種間結婚の統計にかんする記事が載っています。この統計は、ハワイに住んでいる人にとってはとくに驚くことはなにもない(むしろ、日常生活で受ける印象からすると、この数字は予想より低い感じすらする)のですが、アメリカ本土や日本の人にとっては、なかなか興味深いのではないかと思います。

ハワイ先住民と白人植民と大量のアジア移民がまじわって歴史を形成してきたハワイは、もう何十年も、結婚している男女における異人種間結婚の割合がダントツで全米一であり続けてきました。現在では、ハワイで結婚する人々のうち3割近くが異人種間の結婚です。ただしこれは、国勢調査などでつかわれる「人種」カテゴリーを使って「異人種間」と定義されたものなので、たとえばフィリピン系の人と中国系の人が結婚した場合は、同じ「アジア系」同士の結婚とされ「異人種間結婚」には含まれません。このような「異民族間」の結婚も含めると、2007年にハワイで結婚したハワイ住民の約55%が「異人種・異民族間結婚」をしたという統計になっています。全国的にみると、異人種間の結婚は8%であることを考えると(全国的な異民族間結婚の数字はこの記事には載っていません)、ハワイがかなり特殊な場所であることがわかります。ちなみに、ハワイについで異人種間結婚が多い州はアラスカで19%だそうです。

全国的に、異人種間結婚の割合は2000年から20%増加しているものの、1990年から2000年のあいだには65%増加していたことをかんがみると、この増加の速度は急速に落ちているといえます。これにはさまざまな理由が考えられますが、アジア系やヒスパニック系などの移民やマイノリティが、自分と似たような背景で育ってきた相手と結婚する傾向が強くなってきたこと、また、マイノリティの増加に対して反動的な態度をとる白人も増えてきていることなどがあります。後者に関しては、ここしばらく移民政策の名のもとにここ最近アリゾナ州でマイノリティにたいして差別的な政策が次々と打ち出されている(これについては書きたいことがたくさんあるのですが、あまりにも次々ととんでもないニュースが出てくるので、考えて書くのが追いつかない状態です)ことにも表れています。というわけで、オバマ氏のような複数の人種・民族的背景をもつ人物が大統領になったことで、いかにもアメリカが「ポスト人種社会」になったかのような表象をされることも少なくないですが、さまざまな形で人種というカテゴリーはアメリカの人間関係や社会構造、文化のありかたに深い意味を持ち続けています。

同じハワイの話題であるという以外にはまるで関係ないですが、高校生の経済についての知識と教育を促進するためにゴールドマンサックス財団(!)の出資で開催されている、National Economics Challengeという全国大会で、ホノルルの名門私立高校のひとつであるイオラニ高校のチームが優勝しました。このチームのメンバーのひとりが私の友達の息子なのですが、彼が入っているディベート部も全国大会に出場し、そのトレーニングの様子を聞いているだけでも私は深いため息が出ます。アメリカの大学や高校でのディベート部は伝統があり、訓練の方式などもきわめて専門家されていて、アメリカのいわゆる優等生はディベート部の活動を経験した人がかなり多いです。こうした人たちがアメリカのエリートを形成し、そういう人たちと外交を含めさまざまな交渉をしていかなければいけないのだと思うと、正直言って日本の教育にはたいへん心細いものを感じずにはいられません。もちろんアメリカでも、情報をきちんと収集したり分析したり、それらをもとに筋道立てた議論をまとめ発言するということが効果的にできない学生は非常に多い(ことを私は常日頃から痛感している)のですが、それでも、こうしたアメリカの若いエリートたちの能力と気迫には、ドキッとさせられるものがあります。アメリカの優等生(アメリカでいう「おたく」なのかもしれませんが、ちょっと違うかも)というものの姿を見るだけでもなんだか面白いので、興味のある人はこのテレビのインタビューを見てみてください。

まったく関係ないですが、今日はワタクシの誕生日であります。この日はなんと、International Hug a Musician Dayなんだそうです。誰が決めたんだか、どういう意味があるんだか、さっぱりわかりません。今日本に住んでいてボーイフレンドもいない私は、今日ハグをされたりしたりすることはないような気がしますが、午後は岡田暁生さんの講演を聞きに行くので、よい一日となりそうです。