2011年4月10日日曜日

アメリカでもっとも人種隔離の激しい都市トップ10

私は今回千代田区の住民となってから日が浅すぎて投票権がありませんでしたが、石原慎太郎氏が都知事に再選されたことには、おおいに不満。でも、他に「ぜひこの人に!」という有力候補が存在したわけではないので、仕方ないと思うしかありません。震災によって日本の状況が大きく変わってしまったのだから、それを踏まえて選挙を延期し、各候補者にはエネルギー政策や経済復興のビジョンをもっと練って深い議論をした上での投票にしてほしかった。でも、今さら文句を言っても仕方ないので、今後市民が積極的に政治や行政に対して働きかけていくようになることを願うのみ。原発事故によって、日本の人々が、政府の発表やメディアの報道を以前よりも分析的にみるようになり、主体的にさまざまな情報の収集・評価・共有・発信をするようになってきていると思うので、それが政治参加や行政との関係においても発揮されるようになるとよいと思っています。

さて、当面は自分の生活に困らず国内の状況以外のことにも目を向けられる立場の人間が、外の世界についても目を向け続けるということも、日本の国力の一端となるはずだと思うので、あえて今の日本の状況とは関係のないアメリカの話題です。私が今日フェースブックを通じて目にしたのが、「アメリカでもっとも人種隔離の激しい都市トップ10」というリスト。南部のさまざまな形の人種隔離が非合法とされて半世紀がたち、中南米やアジア・中東からの移民が人口をさらに多様化させ、アフリカ系の血をひくオバマ氏が大統領となった現代においても、アメリカではいろいろな形で人種隔離が続いており、それはとくに居住において顕著。都市の中心部は黒人貧困層のゲットーとなり、また、ミドルクラスの黒人が郊外に移り住むようになると従来そこに住んでいた白人がさらに裕福な郊外へと逃避する、というパターンによって、多くの都市では、白人ばかりの区域と、住民の過半数が黒人やヒスパニックといった区域との分離が進んでいます。人々がどこに住むかという選択は、各地区の税収に直接結びつき、税収はその地区の公立学校の予算すなわち教育の質に結びつき(アメリカのたいていの地域では、教育委員会は郡単位で組織・運営されており、学区の予算もその地区の税収と直接結びついています)、また、治安にも結びつきます。治安や教育の質は、その区域にどんなビジネスが居を構えるか(あるいは敬遠するか)に結びつき、経済と生活の質の悪循環が続くこととなります。

というわけで、居住のパターンはきわめて大きな問題なわけですが、このトップ10リスト、なかなか興味深い。大都市ほど、全体の人口構成は人種的多様性が高いのですが、全体が多様だからといって、そのなかの人たちが相互に混じり合って暮らしているかというとそうではなく、むしろ大都市ほど隔離の傾向が強くなっている。ここに挙げられている都市のうち、製造業の衰退によって都市内部の地盤沈下が激しくなっているデトロイトやクリーヴランド、そして多様な人種構成でありながら各人種や民族がそれぞれの区域にかたまっているニューヨークやロスアンジェルスやシカゴなどは、トップ10に入るだろうとは想像しましたが、その順位はちょっと私の予想とは違っていました(私はロスアンジェルスはもっと上のほうにくるかと思っていました)。1位もちょっと意外。各グループの分布具合や詳しい説明は、スライドショーを見てみてください。

1.ミルウオーキー(ウイスコンシン州)
2.ニューヨーク(ニューヨーク州)
3.シカゴ(イリノイ州)
4.デトロイト(ミシガン州)
5.クリーヴランド(オハイオ州)
6.バッファロ(ニューヨーク州)
7.セントルイス(ミズーリ州)
8.シンシナッティ(オハイオ州)
9.フィラデルフィア(ペンシルヴァニア州)
10.ロスアンジェルス(カリフォルニア州)