2010年10月15日金曜日

「アメリカ人の宗教知識」へのコメント

先日の投稿で紹介した、Pew Research Centerによるアメリカ人の宗教知識にかんする調査結果について、宗教学・歴史学・社会学などさまざまな分野の専門家がコメントしたものを、Social Science Research Council(これは私の今年度の研究助成金を出してくれている機関です)がブログで発表しました。これもなかなか面白い。

専門家たちに出された質問が、「Pew Research Centerによる調査結果は、アメリカにおける宗教の知識(そして無知)についてなにを明らかにしていると思いますか。このような形の宗教知識はアメリカの公共生活においてどれほど重要だと思いますか。」というものだったことも大きいでしょうが、専門家たちは、具体的な結果についてのコメントだけでなく、このようなクイズ形式で人々の「宗教知識」を計り、その結果によってその社会的な意味を論じる(要は、人々の無知を嘆いて悲観する)ことの問題点を指摘している人が多いです。主要な宗教の教義・聖典・人物などについての具体的な知識は、もちろんないよりはあったほうがよいだろうが、多くの人々にとって「宗教」やとはそのような事項にかんする知識ではないし、「宗教知識」をそのように定義すること自体に調査そのもののバイアスが表れている。また、アメリカ人の多くがこのような宗教知識に欠けているのはたしかにしても、おそらくそれは、世界の歴史や地理、時事問題、文学などについて同様の調査をしても似たような結果が出ると予測され、他の分野とくらべてとくに宗教にかんする知識が欠けているとはいえないだろう。そしてさらに、アメリカにおいてこのような形の宗教知識がたとえ増えたとして、それが実際にどのような社会的影響をもたらすかは明らかではない。などなど。なかなか興味深いので、よかったら読んでみてください。