Years of Infamy: The Untold Story of America's Concentration Camps
Prisoners Without Trial: Japanese Americans In World War II
で、その行政命令9066から70年の今日、とくにアジア系アメリカ人のコミュニティのなかで大きな話題となっているのが、台湾から移民してきた両親をもつ、プロバスケのNew York Knicksの選手のJeremy Lin。『ドット・コム・ラヴァーズ』の最後の章で書いたように、私はバスケファンのボーイフレンドと同居していたときは、いろいろ教えてもらいながら一緒にテレビでバスケ観戦をしたのですが、その彼と別れてしまってからは再びさっぱり観なくなり、最近Jeremy Linがフェースブックなどでもしきりに話題になっているのをみても、「ふーん、そういう人がいるのか〜」くらいにしか思っていませんでした。でも、とくにここ数週間の騒ぎはただごとではなく、メインストリームメディアでも、彼の活躍を「狂気」を意味するinsanityにかけてLinsanityと表現して大きく取り上げられています。私はちょっと観てみようと思いつつ見逃してしまった今日の対Dallas Mavericks戦でも、見事な活躍をみせチームに勝利をもたらし、今や国民的ヒーローに。野球やゴルフではアジア人の活躍が増えてきていますが、プロバスケでアジア人が活躍するのは珍しく(『現代アメリカのキーワード』に項目のあるヤオ・ミンは昨年引退)、しかもLinはハーヴァード卒。アジア人にまつわるさまざまなステレオタイプを打ち破るめざましい成績をあげているなかで、アジア人に向けられる偏見は強固に残っている部分もあり、先日はスポーツ専門のネットワークのESPNが、携帯用のサイトでChink In the Armor(Chinkというのは、19世紀から20世紀前半にかけて中国人を指すのにしばしば使われた差別用語)という見出しでLinの話題を報じたことで、大きな抗議の声があがり、数時間後には局は謝罪文を発表し見出しを取り下げました。人種をめぐるアメリカの意識や言説は、依然として実に複雑です。