演奏の舞台や公の場には姿を見せなくなってすでに数十年たっているクライバーン氏ですが、冷戦さなかの1958年にこのテキサスの青年が第一回チャイコフスキー・コンクールで優勝したときの騒ぎは、現代ではちょっと想像しがたいものでした。チャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番の録音は驚異的なヒットとなり、クライバーン氏はピアノやクラシック音楽の世界を超えて世界的なスターとして、アメリカ文化史や文化外交の重要な一こまとなったのでした。その後のクライバーン氏のキャリアや、彼の功績を記念して設立されたヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールを初めとするクライバーン財団の活動については、拙著

クライバーン・コンクール発足以来50年、そして来年2013年はまたクライバーン・コンクールの年。そのコンクールの場でクライバーン氏本人の姿を見られるといいのですが。