2012年8月7日火曜日

Interlochen Summer Arts Camp訪問

この週末はカナダが三連休だったので(といっても私はここで働いているわけではないので、間接的にしか関係ないのですが)、国境を超えてミシガンまでドライブしてきました。途中ちょっと寄り道をしながらですが、目的地まで約8時間のドライブ。徐々に植物や風景が変化するのがなかなか面白く、いつかやってみたいと思っていた北米大陸横断ドライブ旅行を早くやりたいと思いました。

今回の旅行の目的は、私の親友(『ドット・コム・ラヴァーズ』に出てくる「マイク」)が夏のあいだ滞在しているInterlochen Center for the Artsを訪れることでした。このセンターはいろいろな側面があるのですが、主なものは、音楽・ダンス・美術・映画・演劇・文芸などといった芸術を専門にする全寮制の高校と、同じさまざまな芸術分野で1週間から6週間までさまざまなプログラムがある、サマーキャンプ。私の友達の音楽家も、また、Musicians from a Different Shoreのリサーチ中にインタビューをした人たちのなかにも、この高校を卒業した、あるいは夏のキャンプに行ったことがある、という人たちがたくさんいます。「マイク」はここの高校の卒業生であるだけでなく、ここしばらく毎夏キャンプでクラリネットを教えているので、私は前からいろいろと話は聞いていたのですが、実際に行ったのは今回が初めて。で、行ってみると、話を聞いて想像していたものよりはるかに規模が大きくレベルも高く、すっかり圧倒されました。なにしろ、このミシガン北西部のまさに森のなかにある学校、高校生のため(夏期キャンプは小学3年生の「ジュニア」レベルから高校生レベルまでのプログラムがある)のものとは思えない施設の充実ぶり。ホールから練習室から図書館からなにから、私の大学なんかよりずっと立派。世界中からオーディションを経てやってくる生徒のレベルも、待遇面でそれほど素晴らしいとは言えないけれど生徒のレベルや態度とキャンプの理念や雰囲気に惹かれて毎年教えにくる教師陣のレベルも、そして各プログラムの指導理念も課程内容も、毎日のように開催される生徒や教師陣やゲストアーティストによる公演の内容も、とにかくすごい。もちろん、こういう場所に参加するためには、生徒の能力だけでなく、相当のお金が必要で、ある程度の奨学金も提供されるものの、親にまったく財力がない生徒には参加はまず無理。それでも、才能やポテンシャルのある生徒には、財力にかかわらずこうした場所での刺激とガイダンスが経験できるよう、学校側は奨学金を可能にするためのさまざまな資金集め策を講じているらしいです。真のエリート教育とはどういうものか、考えさせられる訪問でした。

Interlochen訪問に加え、「マイク」の案内でミシガンのこのエリア周辺をあちこち見て回り、これまでデトロイトにちらりと学会で行ったことがあるだけで、まるで馴染みのなかったミシガンに少し触れることができました。大きな湖の他にも、こんなにたくさんの大小の湖がミシガンにあるということも、そしてこのエリアがこんなに美しいということも、私はまるで知りませんでした。ミシガンというと、デトロイトを初めとする都市が国産自動車産業の衰退により経済的に廃退し、治安も悪化し、とにかく暗い、というイメージがあり、たしかにマイケル・ムーアの映画で知られるフリントの街を車で通ると、見事なまでにその前後の街より高速道路の状態が悪い。今回は高速道路で通り過ぎる以上のことをする時間がなかったので、いずれまたちゃんと訪れてみたいと思いますが、そのマイケル・ムーアが監督・主催する映画祭が、私たちが滞在したTraverse Cityで開催中でした。このTraverse Cityも、なかなか感じのいい街で、観光するにも住むにも快適そう(ただし、今回は夏の訪問だったからよいけれど、冬の寒さを想像すると、ハワイに身体が慣れている私は、考えただけで頭が凍る)。というわけで、大変楽しい旅でした。



トロント滞在も残りあとわずかとなってきてしまい、ここにいるあいだにやっておくべきことをちゃんと仕上げられるかどうかの正念場です。日本はたいへんな暑さだとほうぼうから聞いていますが、日本のみなさま、どうぞ熱中症にお気をつけて。