ハワイ大学アメリカ研究学部教授、吉原真里のブログです。『ドット・コム・ラヴァーズーーネットで出会うアメリカの女と男』(中公新書、2008年)刊行を機に、アメリカのインターネット文化や恋愛・結婚・人間関係、また、大学での仕事、ハワイでの生活、そしてアメリカ文化・社会一般についての話題を掲載することを目的に始めました。諸般の事情により、2014年春から2年半ほど投稿を中止していましたが、ドナルド•トランプ氏の大統領選当選の衝撃で長い冬眠より覚め、ブログを再開することにしました。
2009年4月10日金曜日
山田詠美「学問」
2008年9月号(この号に水村美苗さんの『日本語が亡びるとき』
の一部が載っていたのでたまたま読んだのです)から『新潮』に四回にわたって連載されていた山田詠美の小説「学問」が四月号で完結したのを読みました。連載が始まったときからとても面白いと思って毎回楽しみにしていたのですが、最後まで読んで、とても感動しました。感動なんていう単語を使ってしまうとなんだかばかみたいですが、実にいろいろな感情を呼び起こし、いろいろなことに思いを巡らせてくれると同時に、小説の構成とか文章の技巧にも拍手を送りたくなる作品です。子供期から思春期にはいっていく四人(五人かな)の男女の、複雑で素直で滑稽な感情や行動や関係が、とても優しく描かれています。自分が好きなことや人を発見していく道筋と、恋心や性欲や友情や愛情といったものを、回り道してケガや傷を作りながら少しずつ育んでいく、その過程の物語が、とても愛おしいです。周りに認めてもらったり仲間に入れてもらったりしたい気持ちと、周りへの優越感や競争心がないまぜになった、思春期ならではの心理もとてもよく描けています。私は、登場人物のそれぞれに、自分の一部を見るような気持ちもします。そして、物語の後のそれぞれの人生について読者の想像のかきたてかたが、またとてもよいです。自分の中学・高校時代のいろんなことが思い出されて、気恥ずかしくもなるし、切なくもなるし、その頃の自分に会って「よしよし」と頭をなでてあげたくもなります。また、それからの人生のなかで手に入れたり失ったりしてきたものを、その頃の時間を共有した友達と一緒に、裏山に穴を掘ってしまいに行きたい気持ちにもなります。(私が通った中学・高校にはまさに「裏山」という表現がふさわしいものがあるので、実行しようと思えばできる!)「学問」はそのうち単行本として発売になるでしょうが、興味のあるかたは、図書館で2008月9月号から四回分読んでみてください。
2009年4月7日火曜日
ヴァーモント州でも同性婚合法化
アイオワ州に続いて、ヴァーモント州でも同性婚が合法化されました。これまでに同性婚を合法化してきた州(マサチューセッツ、コネチカット、アイオワ)はみな、結婚を異性愛者のみに限定するのは法の下の平等を掲げる州憲法に違反するとの判決を裁判所がくだしたことによって、つまり司法によって、同性婚が認められてきましたが、ヴァーモントは初めて、州議会によって同性婚が立法化された州となりました。同性婚に反対する人々や団体は、司法によってこうした決断がなされるのは、結婚という制度を、有権者の声よりも政治的なプロセスにゆだねるものだとして抗議してきました。以前に説明したカリフォルニア州のProposition 8に見られるように、同性婚が有権者の投票にかけられた州の多くでは、結婚を異性愛者に限るという新たな立法が近年なされてもいます。ですから、このように議会の立法によって同性婚が達成されたことは、(ハワイも含め)同性婚やシヴィル・ユニオンの合法化にむけての運動が進んでいる他の州に大きな希望を与えることでしょう。
2009年4月5日日曜日
『トウキョウソナタ』
ホノルル映画祭で『トウキョウソナタ』を上映しているので観てきました。不況期の東京の世相をとてもリアリティをもって描いていると思いました。日本のニュースはネットで目を通していますが、最近は本当に悲しいニュースが多いなあと思うものの、日本に住んでいないので経済状況が日常生活にどんなふうな影響をもたらしているのかは間接的にしかわからず、その点で、勉強になるといったらちょっと変ですが、とても実感の湧く映画でした。また、登場人物はみな、それぞれの形で誠意と優しさをもって精一杯生きていながら、そのエネルギーや感情をなかなかいい方向に向けられず、周りの人たちや社会と歯車の合わないことになってしまう、その哀しさと愛おしさをよく伝えているとも思いました。暗く哀しいばかりでなく、そうした状況のなかでの人間の行動の滑稽さも人の優しさも伝わってきます。また、『歩いても歩いても』なんかに通じる、家族の関係がいろんな意味でとても日本的だと思いました。(アメリカ人にはなかなかわかりにくいんじゃないかと思います。)また、出てくる風景に強烈な懐かしさを感じるなー、こういう風景こそが私にとっての東京の風景だよなーと思いながら見ていましたが、駒場東大前の住宅街の実在の家がロケ地だそうなので、なるほど納得。
また、私の関心に沿っていえば、『おくりびと』にしても『トウキョウソナタ』にしても、話のなかでクラシック音楽が周縁的でありながら重要な役割を果たしているのがとても興味深いです。『おくりびと』の主人公がチェロ奏者である必然はなにか。『トウキョウソナタ』でピアノが象徴するものはなにか。(「ピアノの先生」というイメージは、現代でもああいう感じなのか、という点も面白かったです。)面白い。
また、私の関心に沿っていえば、『おくりびと』にしても『トウキョウソナタ』にしても、話のなかでクラシック音楽が周縁的でありながら重要な役割を果たしているのがとても興味深いです。『おくりびと』の主人公がチェロ奏者である必然はなにか。『トウキョウソナタ』でピアノが象徴するものはなにか。(「ピアノの先生」というイメージは、現代でもああいう感じなのか、という点も面白かったです。)面白い。
2009年4月4日土曜日
『考える人』「ピアノの時間」特集
新潮社の季刊誌『考える人』春号が4日発売になりました。「ピアノの時間」という特集です。私は「私の好きなピアノ・アルバム ベスト3」というアンケートに答えただけなのですが、音楽、とくにピアノの好きなかたは手に取ってみてください。ちなみに、このアンケートでは、ホロヴィッツだのリヒテルだのグレン・グールドだの内田光子だのといったところは他にもたくさん挙げる人がいるだろうと思い、私が『Musicians from a Different Shore』
のリサーチ・執筆の過程で個人的に知り合いになった、才能あふれる若手のアジア人・アジア系アメリカ人女性のCD三枚を選びました。以下の通りです。
Scarlatti: Complete Keyboard Sonatas, Vol. 8
演奏・Soyeon Lee
韓国出身のSoyeon Leeは、人柄・音楽ともに、明るさと深みを同時に備えている、とても輝いているピアニストです。アジア人として、また女性として西洋クラシック音楽を追求することについての考えを、とてもじっくりと語ってくれました。このCDはバロック音楽の幅の広さを知らせてくれます。
Georg Tintner: Violin Sonatas; Chopin Variations
演奏・Helen Huang (ピアノ) Cho-Liang Lin(ヴァイオリン)
日本生まれ、台湾系、ニューヨーク育ちのHelen Huangは、十歳でコンサート生活を始めたいわゆる「天才少女」でしたが、このCDはそうしたレッテルをはるかに超越した成熟した芸術性を見せています。共演しているのは、世界的に活躍するヴァイオリニストのCho-Liang Lin(彼もMusicians from a Different Shoreにインタビューの抜粋が出てきます)。
Etudes, Seriously 演奏・平田真希子
平田真希子さんは、私のニューヨーク滞在中にすっかり仲良しになったピアニストで、私はしばらく彼女にピアノのレッスンも受けていました。真剣で厳しいと同時に笑いがたくさんの楽しいレッスンで、とても勉強になりました。このCDからは、ピアノ曲ならではの色彩を表現し、聴衆に媚びない真面目な音楽作りをしていることが伝わってきます。
Scarlatti: Complete Keyboard Sonatas, Vol. 8
韓国出身のSoyeon Leeは、人柄・音楽ともに、明るさと深みを同時に備えている、とても輝いているピアニストです。アジア人として、また女性として西洋クラシック音楽を追求することについての考えを、とてもじっくりと語ってくれました。このCDはバロック音楽の幅の広さを知らせてくれます。
Georg Tintner: Violin Sonatas; Chopin Variations
日本生まれ、台湾系、ニューヨーク育ちのHelen Huangは、十歳でコンサート生活を始めたいわゆる「天才少女」でしたが、このCDはそうしたレッテルをはるかに超越した成熟した芸術性を見せています。共演しているのは、世界的に活躍するヴァイオリニストのCho-Liang Lin(彼もMusicians from a Different Shoreにインタビューの抜粋が出てきます)。
Etudes, Seriously 演奏・平田真希子
平田真希子さんは、私のニューヨーク滞在中にすっかり仲良しになったピアニストで、私はしばらく彼女にピアノのレッスンも受けていました。真剣で厳しいと同時に笑いがたくさんの楽しいレッスンで、とても勉強になりました。このCDからは、ピアノ曲ならではの色彩を表現し、聴衆に媚びない真面目な音楽作りをしていることが伝わってきます。
2009年4月3日金曜日
アイオワ州同性婚合法化
今日、アイオワ州の最高裁が、結婚を一人の男性と一人の女性のあいだのものと限定している1998年の州法は違憲であるとの判定をくだし、同性婚を合法化しました。四年間続いた、同性婚を求める人々による法廷闘争に決着がついたことになります。これにより、アイオワは、マサチューセッツとコネチカットについで同性婚を認める三番目の州となりました。これまで同性婚をめぐる法的運動は主に東と西の両海岸でなされてきて、中西部の多くの州では同性法を禁じる州憲法修正がなされていたなかで、今回の判定はとても意義のあるものです。もちろん、同性婚に反対する人々は、この決定をくつがえすための運動をすぐにも始めることでしょうが、同性婚を禁じるように州憲法を修正するためのプロセスはとても長く難しいので、すぐにはそうした結果にはならないだろうとの見通しです。アイオワ州では、州の住民でなくても結婚届を出すことができるので、この決定の結果、他州から多くの同性愛者たちがアイオワで結婚するだろうという予測です。これまで何度も投稿で報告してきたように、ハワイでのシヴィル・ユニオンにむけての運動が続くなかで、この決定は希望と勇気を与えてくれます。
まるで関係ありませんが、十五年間続いたNBCのテレビドラマ「ER」が、昨晩をもって終了しました。確かこの番組は日本でもNHKが数シーズン遅れて放映しているんですよね。私はこの番組が始まったときは初々しき(?)大学院生でした。今では似たような形式の番組はいろいろありますが、当時はなかなか画期的なつくりで、テレビ史のなかでもそれなりに意義のある番組だそうです。最終エピソードでは、途中で番組を去って行ったいろいろな主要登場人物が再登場して、とても懐かしいと同時に、「ああ、それだけの年月がたったんだなあ」と、なんだか自分のトシも実感しました。昨日、授業で「セックス・アンド・ザ・シティ」の話をしていてふと気づいたのですが、私はあの番組が始まったのは(1998年)ついこのあいだのことのように思っていて、「現代文化」のひとつとして考えていますが、番組が始まったとき今の学部生はまだ10歳くらいだったわけで、一シーズンめの服なんかを見ると、「とても昔のこと」と思うようです。「私はキャリー・ブラッドショーと同い年だ」と言ったら、なんとも言えない表情をして私のことを見ていました。
まるで関係ありませんが、十五年間続いたNBCのテレビドラマ「ER」が、昨晩をもって終了しました。確かこの番組は日本でもNHKが数シーズン遅れて放映しているんですよね。私はこの番組が始まったときは初々しき(?)大学院生でした。今では似たような形式の番組はいろいろありますが、当時はなかなか画期的なつくりで、テレビ史のなかでもそれなりに意義のある番組だそうです。最終エピソードでは、途中で番組を去って行ったいろいろな主要登場人物が再登場して、とても懐かしいと同時に、「ああ、それだけの年月がたったんだなあ」と、なんだか自分のトシも実感しました。昨日、授業で「セックス・アンド・ザ・シティ」の話をしていてふと気づいたのですが、私はあの番組が始まったのは(1998年)ついこのあいだのことのように思っていて、「現代文化」のひとつとして考えていますが、番組が始まったとき今の学部生はまだ10歳くらいだったわけで、一シーズンめの服なんかを見ると、「とても昔のこと」と思うようです。「私はキャリー・ブラッドショーと同い年だ」と言ったら、なんとも言えない表情をして私のことを見ていました。
2009年3月30日月曜日
The Third Mind
先ほどハワイに戻ってきました。ニューヨークでの一週間は本当に充実していて楽しかったので去るのが悲しかったですが、青空のハワイにはやはり、飛行機を降りたとたんに、身体がのびのびとするような空気があります。ニューヨーク最後の夜は、泊めていただいたお宅でのディナーパーティが夜中の2時近くまで盛り上がり(日本人ばかり9人の集まりだったのですが、武蔵野音大のピアノ教授、N響首席ファゴット奏者、彫刻家、作曲家、ジャズピアニスト、60代でだんなさまを亡くされてから単身ニューヨークに移住して英語を勉強中というたくましい女性と、実に豊かな顔ぶれでした。それぞれが言いたいこと言うだけではなくて、お互いの話をよく聞いて茶々をいれたりしながら、いいリズムで会話が進んでいくのが実に楽しく、よく笑うと同時に実のある一夜でした)、私はそのあと朝4時半のバスで空港に向かわなければいけなかったので、睡眠不足と時差ぼけで今は朦朧としてなにがなんだかよくわからない状態です。でも今晩は仲良しの友達の室内楽のコンサートがあるので、なんとか目をさましていなければいけません。
ニューヨーク最終日には、グッゲンハイム美術館で開催中のThe Third Mindという展覧会に行ってきました。19世紀後半から冷戦終了期までのあいだ、アジアの思想・文化・芸術に影響を受けたアメリカの芸術家たちの作品を集め、その影響のありかたの様々な流れを辿った展覧会です。私がEmbracing the East
で分析しているような題材そのもので、Embracing the Eastにも出てくるMary Cassattの版画やEzra Poundの詩なども展示されているほか、アジアの思想や宗教を勉強した芸術家たちの抽象画や、1970年代以降のマルチメディア作品まで、実にいろいろな作品が集められています。イサム・ノグチやヨーコ・オノの作品もあります。これらのアメリカ芸術における「アジアの影響」というのは、オリエンタリズムの系譜を引き、その文化や思想のいくつかの部分を選択的に抽出・移植・翻訳したものである、ということを明確にしながら、芸術家たちが真剣にアジアに目を向けそれを理解しようとし、そうした他文化との対峙のなかで新しい表象のしかたを生んだ、ということが、時系列的にまたテーマ別によくわかる構成になっています。4月19日までやっているので、ニューヨークにいるかたはぜひどうぞ。そうでないかたは、アマゾンでカタログ
(ここまで重厚にする必要があるのかと思うくらい実に立派なカタログです。でも参考文献にEmbracing the Eastが載っていないのが納得いかん!:))購入可能です。
ニューヨーク最終日には、グッゲンハイム美術館で開催中のThe Third Mindという展覧会に行ってきました。19世紀後半から冷戦終了期までのあいだ、アジアの思想・文化・芸術に影響を受けたアメリカの芸術家たちの作品を集め、その影響のありかたの様々な流れを辿った展覧会です。私がEmbracing the East
2009年3月29日日曜日
ニューヨークより 続き
ニューヨーク滞在の最終日となってしまいました。あまりにも刺激が多く楽しい毎日なので、終わってしまうのは悲しいですが、ニューヨークという街に身を置いてからハワイに戻ると、また感じるものも多いだろうと思います。
昨日はNew York Public Library for the Performing Artsという図書館で午後を過ごしました。これは、ニューヨーク市立図書館の一部で、音楽や演劇を専門にした図書館なのですが、一般閲覧・貸し出し用の書籍やCD、DVDのほかに、さまざまな一次資料がそろった研究施設があって、これがまた素晴らしいのです。私は、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールについてのリサーチを始めているので(これについては研究がもう少し進んだら詳しく書きます)、クライバーンについての資料を見に行ったのですが、クライバーンが冷戦さなかの1958年にチャイコフスキー・コンクールで優勝して「アメリカン・スプートニック」と言われ大変な騒ぎになった頃の新聞・雑誌記事のクリッピングから、最近のクライバーン・コンクールに関する資料まで、ありとあらゆるものが揃っています。音楽そのものを研究する人には、さまざまな作曲家の自筆の楽譜などもたくさん揃っていて、弾いてみるためにクラヴィノーヴァもあるし、CDやDVDを視聴するためのPCも列をなしていて、しかも誰でも無料で好きなだけ使える。研究者やオタクには夢の遊園地のような場所です。
その他、知人の彫刻家の作品が展示してあるハーレムの美術・音楽学校を見に行ったり、友達の両親が経営しているアジア美術のギャラリーを見に行ったり、ジャズを聴きに行ったりして、刺激たっぷりの毎日です。今日は、友達とブランチをして、夜は泊めていただいているお宅でディナーパーティで、そのあいだにグッゲンハイム美術館に行こうかと思っています。
関係ありませんが、歴史家John Hope Franklin氏が先週94歳で亡くなりました。奴隷制の歴史を初めとする、アメリカの黒人史研究家のパイオニアで、とくに第二次大戦後において、アメリカの歴史観に、黒人の歴史をとりこむという点でたいへん大きな功績を残した人です。自身が黒人の歴史家としてもパイオニアで、人種隔離されていた南部歴史協会で黒人として初めて論文を発表したり、黒人初のアメリカ歴史協会会長となったりしたほか、同僚や後輩、学生ともとても温かく指導や共同研究などをするとして人望を集めていた人です。今ではマイノリティや女性などの歴史や視点が「メインストリーム」のアメリカ史に取り入れられるのは当たり前になっていますが、その布石を敷いた人物です。
昨日はNew York Public Library for the Performing Artsという図書館で午後を過ごしました。これは、ニューヨーク市立図書館の一部で、音楽や演劇を専門にした図書館なのですが、一般閲覧・貸し出し用の書籍やCD、DVDのほかに、さまざまな一次資料がそろった研究施設があって、これがまた素晴らしいのです。私は、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールについてのリサーチを始めているので(これについては研究がもう少し進んだら詳しく書きます)、クライバーンについての資料を見に行ったのですが、クライバーンが冷戦さなかの1958年にチャイコフスキー・コンクールで優勝して「アメリカン・スプートニック」と言われ大変な騒ぎになった頃の新聞・雑誌記事のクリッピングから、最近のクライバーン・コンクールに関する資料まで、ありとあらゆるものが揃っています。音楽そのものを研究する人には、さまざまな作曲家の自筆の楽譜などもたくさん揃っていて、弾いてみるためにクラヴィノーヴァもあるし、CDやDVDを視聴するためのPCも列をなしていて、しかも誰でも無料で好きなだけ使える。研究者やオタクには夢の遊園地のような場所です。
その他、知人の彫刻家の作品が展示してあるハーレムの美術・音楽学校を見に行ったり、友達の両親が経営しているアジア美術のギャラリーを見に行ったり、ジャズを聴きに行ったりして、刺激たっぷりの毎日です。今日は、友達とブランチをして、夜は泊めていただいているお宅でディナーパーティで、そのあいだにグッゲンハイム美術館に行こうかと思っています。
関係ありませんが、歴史家John Hope Franklin氏が先週94歳で亡くなりました。奴隷制の歴史を初めとする、アメリカの黒人史研究家のパイオニアで、とくに第二次大戦後において、アメリカの歴史観に、黒人の歴史をとりこむという点でたいへん大きな功績を残した人です。自身が黒人の歴史家としてもパイオニアで、人種隔離されていた南部歴史協会で黒人として初めて論文を発表したり、黒人初のアメリカ歴史協会会長となったりしたほか、同僚や後輩、学生ともとても温かく指導や共同研究などをするとして人望を集めていた人です。今ではマイノリティや女性などの歴史や視点が「メインストリーム」のアメリカ史に取り入れられるのは当たり前になっていますが、その布石を敷いた人物です。
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