ハワイ大学アメリカ研究学部教授、吉原真里のブログです。『ドット・コム・ラヴァーズーーネットで出会うアメリカの女と男』(中公新書、2008年)刊行を機に、アメリカのインターネット文化や恋愛・結婚・人間関係、また、大学での仕事、ハワイでの生活、そしてアメリカ文化・社会一般についての話題を掲載することを目的に始めました。諸般の事情により、2014年春から2年半ほど投稿を中止していましたが、ドナルド•トランプ氏の大統領選当選の衝撃で長い冬眠より覚め、ブログを再開することにしました。
2009年3月8日日曜日
シヴィル・ユニオン支持集会
すでに何度か報告している、ハワイ州のシヴィル・ユニオン法案は、上院の委員会で凍結したままで、委員会をバイパスして上院全体の投票にかけるかどうかが議論されているところです。上院全体の投票ということになれば、過半数の議員は法案支持を表明しているので、無事に通過すると予測されています。ただ、委員会をバイパスして法案を投票にかけるとなると、委員会制度そのものの権威が揺らぎかねないので、よほどの緊急事態でなければ議員はそうした手続きをとりません。この法案が「緊急事態」にあたるかどうかが議論のポイントでもあります。
そうした議論が続くなか、昨晩、州議会議事堂で、シヴィル・ユニオンを支持する人たちの集会があり、私も行ってきました。さまざまな教会によって組織された反対派の集会よりはずっと小さいものの、雨のなか数百人(この新聞記事には「200人以上」となっていますが、私が見たところでは500人近くはいたと思います。正確には計りえないこうした数字をどのように表示するかにも、政治的要素がからんできます。反対派の集会に関しては、翌日の新聞は「2000人」となっていたのに、その数日後にはなぜか「8000人」に膨らんでいました)の人々が集まり、前宵祭のように灯したろうそくを手に、性的アイデンティティや信仰や階層や文化を超えて、すべての人に公平な権利を与える社会を作ろうという意思を表現しました。ユニティ・チャーチというキリスト教会や、テンプル・エマニュエルというユダヤ教寺院(これらの教会・寺院では同性愛者の牧師がいます)、そして先住ハワイ人コミュニティのリーダーや、この法案を支持している州議員たちのスピーチにくわえて、先日の上院委員会の公聴会でも証言をしたレズビアンのカップルなどが心のこもったスピーチをしました。集まった人たちは、もちろん同性愛者の人たちも多かったですが、さまざまな背景の異性愛者も数多く集まっていたのが心強かったです。私の同僚や学生もたくさんいました。私は、この法案を支持しているのは同性愛者だけではない、ということを示すために、Straights for Civil Unionというサインをもって参加しました。異性愛者・同性愛者ともにたくさんの人たちが、このサインを見て「よし!」という意味の親指を立てる合図をしてくれました。
ちなみに、私の同僚で、宗教と政治やセクシュアリティの問題を専門にしているKathleen Sandsと、法律専門家で先日の公聴会でとても雄弁な証言をしたLinda Krieger(この二人はカップル)についてのとても興味深い記事が、Honolulu Weeklyというコミュニティ新聞に載っています。レズビアンとしてカム・アウトするということがどういうことか、彼女たちがどういった思いでこの法案可決のための運動にのぞんでいるか、ということが等身大で伝わってくるいい記事ですので、読んでみてください。