今回の判決は、同性婚の禁止は、憲法に定められた法の下の平等に反するとして、二組の同性カップルが起こした裁判をもとに出されたものです。LGBTの活動家がこの訴訟を支援するための非営利組織を設立し、保守・リベラル両陣営からきわめて権威ある弁護士を雇い、この裁判にのぞみました。提案8号の支持者たちは、同性婚は結婚という制度を揺るがすものであり、子どもは父親と母親の両方がいてこそ健全に育つ、との論を展開。提案8号反対派は、同性のカップルに育てられた子どもは異性の家庭で育った子どもと比べて、発育や知力・学力においてなんの違いもないというデータを提示。また、同性愛者たちが結婚を求めることで、結婚という制度は揺るがされるどころか、より地位が上がっているとの論も展開。全国のさまざまな大学の研究者や、なぜ自分たちにとって結婚が大事なのかという熱のこもった証言をする同性愛者たちが、裁判で証言をしました。Vaughn R. Walker裁判官による判決は、裁判でなされたこれらの証言に依拠した部分が多いと言われ、提示された事実および法の解釈の両方が判決文には挙げられていました。そして、「提案8号は、同性婚に対する道徳的な否認に基づいたものである」「同性のカップルと異性のカップルを異なるものだとするのは、道徳的・宗教的な考えにのみ依拠するものである」として、提案8号を違憲と判断しました。シュワルツネッガー州知事も、この判決を、「すべての人がもつべき全面的な法による保護を確認するもの」、「カリフォルニアの人々に、未来への道を切り開くという州の歴史、そしてあらゆる人々とその人々のもつ人間関係を等しい尊敬と威厳をもって扱う、というカリフォルニアの評判について考える機会を与えてくれる」として全面的に支持しています。
この判決に抗議する人たちは、すぐに控訴する準備をしており、連邦最高裁まで行くと予測されていますが、とりあえずは、この判決は、同性愛者、そして同性婚を支持する人々にとって大きな勝利といえます。