先週木曜日はサントリーホールでアシュケナージ指揮のN響公演で神尾真由子さんのプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲2番(風邪気味の体調をおして行ったのですが、風邪もふっとぶ崇高さと迫力でたいへん素晴らしかったです)とショスタコヴィッチ交響曲5番を聴き、昨日は国立能楽堂で能と狂言を観てきました。明日は新国立劇場で井上ひさし作の『雨』を観に行きます。というわけで、それぞれまるっきり違うタイプの舞台芸術を立て続けに経験し、しかも自分がピアノで舞台に立って間もなくのことなので、なおのこと興味深いです。
私は、狂言は観たことはあったけれど、能をきちんと観たのは今回が初めて。ある人(この人がまた大変面白い人物で、彼についてもいろいろ紹介したいのですが、それはまたの機会に)のお誘いで行ったのですが、彼がいろいろと解説をしてくれたり私の質問に答えてくれたりするので、そうでなければ訳がわからなかったであろうことがいろいろ納得。近代西洋的なパフォーマンスの概念や現代の人々の音感や時間の感覚とはあまりにも違う形態であるだけに、近代に染まった私の頭にはたいへん新鮮でした。
ちなみに、明日から、モスクワとサンクトペテルブルグで、第14回チャイコフスキー・コンクールが始まります。『ヴァンクライバーン 国際ピアノコンクール』の最後でも言及したように、前クライバーン財団長のリチャード・ロジンスキ氏が運営委員となり、クライバーン・コンクールでウェブキャストを担当したモリー・マックブライドがこちらでも初のウェブキャストを行うとのこと。2009年のクライバーン・コンクールに出場した人の名前も何人か観られます(クライバーンで2位になったヨルム・ソンも出場)。なかなか興味深い展開。また、このように世界各地のコンクールをまわるのはプロのピアニストばかりではなく、アマチュアの世界でも。今回のアマチュア・クライバーン・コンクールに出場した仲間たちの何人もが、今月末に行われるボストン国際ピアノ・コンクールにも出場します。みんな、ホントによくやるなあ。私なぞは、テキサスの経験が強烈すぎて、「自分にとってのピアノとはなにか」と考え込んで眠れなくなったりしているのに...