それにしても、昨日のコンサートで私は改めて竹澤恭子さんに惚れ直しました。ラフォルジュルネのときに聴いた彼女のソロもパワーと叙情性に満ちていて素晴らしかったけれど、室内楽での演奏も絶品。彼女の出す音には底力と主張が自然に表れているのだけれど、それが他の演奏家たちと見事にアンサンブルをなしている。なにしろカッコいい。演奏も最高だし、笑顔や身のこなしに、つねに高きものを目指している人ならではの風格と謙虚さと美しさがあって、私にとって40代の女性の理想は彼女のような人物。本当の美しさというものを、全身で体験させていただいた思いでした。
ハワイ大学アメリカ研究学部教授、吉原真里のブログです。『ドット・コム・ラヴァーズーーネットで出会うアメリカの女と男』(中公新書、2008年)刊行を機に、アメリカのインターネット文化や恋愛・結婚・人間関係、また、大学での仕事、ハワイでの生活、そしてアメリカ文化・社会一般についての話題を掲載することを目的に始めました。諸般の事情により、2014年春から2年半ほど投稿を中止していましたが、ドナルド•トランプ氏の大統領選当選の衝撃で長い冬眠より覚め、ブログを再開することにしました。
2011年6月19日日曜日
竹澤恭子さん、カッコいい〜
ここのところ、毎日のようにいろいろなコンサートに行っているのですが、昨日はサントリーホールのチャンバーミュージック・ガーデンの最終コンサートに行ってきました。メナヘム・プレスラー、竹澤恭子、豊嶋泰嗣、堤剛という豪華なメンバーで、シューマンのピアノ四重奏曲、ドホナーニの弦楽三重奏のためのセレナード、ドヴォルザークのピアノ四重奏曲第2番というプログラム。シューマンのピアノ四重奏曲はいつか自分が弾いてみたいと楽譜を買って、アンダンテ・カンタービレだけ譜読みはしてあるものの、一緒に弾いてくれる人が見つからずにそのままになってあるのですが、昨日の演奏はもう涙が出るほど美しく、天国にいる気分でした。プレスラー氏の演奏はBeaux Arts Trioがハワイに来たときに一度聴いたことがありましたが、なにしろ信じられないほど柔らかく静かな音でありながら実にクリアで、「これぞ音楽!」という神髄を感じさせられます。87歳という年齢でこの鋭い耳と指とは、驚嘆。2009年のクライバーン・コンクールのときにインタビューもさせていただいたのですが、忙しいスケジュールのなかひとりひとりに実に丁寧に真摯に接してくださって、そこもまた感動。