2012年4月29日日曜日

別れの儀式

ニューヨーク・タイムズのサイトで、「あなたにおススメの記事」のナンバー1になっているのが、「別れの儀式」についての記事。この記事、全読者のなかで「もっともメールされている記事」のトップ10にすら入っていないのに、私には一押しでおススメされているというあたりが、なんとも複雑な気分(笑)。それはまあともかくとして、記事の内容は、私はとても共感するものであります。


要は、最近、離婚するカップルがなんらかの別れの儀式を行うことが増えている、ということ。たいていのカップルは、結婚するときには、人生を共にすることを誓う儀礼や式典をする。だったら、離婚をするときにも、その誓いから自らを解放し、結婚生活の過程で共有してきたものを讃え記念し、それに終止符を打ち、人生の新方向の第一歩を踏み出す儀式があってもしかるべし。恨みつらみや怒りをずるずると引きずっているよりも、こうした儀式を行うことで、気持ちに整理をつけることができ、プラスのものをプラスとして捉えることができる。もちろん、別れの悲しみを儀式が減らしてくれるわけではないが、いろいろな意味でひとつの節目をつけることにはなる。


カップルによっては、それぞれが反対側から万里の長城に登り、歩いて中間地点で会い、抱擁しあってから、再び別の道を行く、といった壮大な儀式をする人もいれば、ふたりで暮らしたアパートの真ん中でふたりの思い出を語り合い、お互いの幸せを願いあって別れる、といったシンプルな終止符をつける人もいる。儀式は必ずしもふたりでする必要はない。ある女性の場合は、何年も前に済んだ離婚を今でも引きずっている自分に気づき、気持ちにけりをつけるために、自分で派手な離婚パーティを開催し、ナイトクラブを借りて、親族や友達の見守るなか、ドレスを着て会場の真ん中に歩み出て、旧姓を取り戻す誓いの言葉を述べると、母親が彼女に指輪をはめて、「家族のあなたへの愛情は、いつまでも終わることがないのよ」と言ったという。笑いや涙や拍手や音楽やダンスに満ちた、明るい別れのパーティ。なんとも素晴らしい(なんだかいかにも私がやりそうなことだ〜:))。


別れる本人たちの気持ちの整理にも儀式はプラスの意味をもつけれど、とくに子供がいるカップルにとっては、こうした儀式は重要だという。両親の離婚によって混乱・困惑している子供にとって、こうした儀式を経ることは、両親の歴史や選択を理解し受け入れる機会となる。親は、儀式の場で、離婚後も子供たちはそれぞれの親にとって一番重要な存在だということを改めて子供に伝えることができる。とのこと。


私は以前から、こういう儀式があればいいのにと思っていました。離婚だけでなく、恋人同士が別れる場合でも、(私自身を含め)こういった儀式に救われる男女は多いのではないかと思っていました。もちろん、別れの状況によっては、とてもそんな儀式をする気にはなれない、という人たちも多いでしょうが、きちんとした話し合いを経てお互いの合意のもとで別れる場合には、こうした儀式は、悲しいながらも美しく重要な節目になり、気持ちの整理に役に立つのでは。また、ふたりと親しくしてきた家族や友人たちにとっても、儀式はプラスなような気がします。最近、私が親しいカップルのいくつかが別離をしているのですが、そうした場合、友達にとっては、傷ついている本人たちへの気持ちももちろんですが、カップルとしての二人との関係が消滅してしまう悲しみも大きい。ふたりの結婚を祝い、結婚生活のあれこれを共有してくれた周りの人たちに、感謝と挨拶の気持ちを表すという意味でも、こうした儀式はあってもよい気がします。私に商才があったら、別れの儀式やパーティをコーディネートするビジネスを始めるかも。