夕方からは、Historic Stockyards、つまり家畜収容所として歴史的に機能してきたエリアに出かけ、ステーキを食べてきました。フォート・ワースに来たのは今回が5回目でありながら、Stockyardsに行ったのは今回が初めてでした。フォート・ワースが、もともと放牧業の中継地点として発展してきた街であることは拙著
テキサスにはもう何度も来ているのでそう驚かなくなりましたが、最初に来たときに新鮮だったのが、地元の男性はごく日常的にカウボーイ・ハットを被る、という事実。別に、ウェスタンをテーマにした特別なイベントに行くときでなくても、街やレストランで、きちんとした男性が、普通にカウボーイ・ハットを被り、カウボーイ・ブーツを履いている。ビジネスマンが、スーツにカウボーイ・ハット、という姿でいることもあるし、たいへんオシャレなレストランに、ウェスタンの服装とカウボーイ・ハットの男性が何人もいる。そうか、この土地ではこれが普通の格好なんだ、ハワイでは地元の人が日常的にアロハシャツを着る(アロハシャツにもいろいろありますが、ハワイではアロハシャツは正装なので、仕事にはもちろん、結婚式やお葬式にもアロハシャツを着ていくのはごく普通)のと同じようなものなんだろう、と納得。それにしても、テキサスでは、そのへんのいわゆる「場末」の雰囲気のハンバーガー屋さんなどに、きちんとしたスーツ姿のビジネスマンが昼間やってきて、ハンバーガーとビールというランチをとっていたりするのが、私にはなんとも面白いです。
さて、拙著で、クライバーン財団が、音楽ファンだけでなく街全体の誇りとしてクライバーン・コンクールを育んできたことを強調しましたが、今回も、このコンクールの存在は街のいろんなところで感じられます。ダウンタウンにはクライバーン・コンクールの垂れ幕が各所で見られるし、街のバス停のベンチもコンクールの広告になっている。バス・ホール近くのレストランに行くと、ウェイターが「今のところ誰が有望だと思いますか?」などと話しかけてくる、といった次第。
今日から準本選。午前中から始まった予選と違って、演奏は午後1時半からで、午後の部と夜の部のあいだにも3時間近い休憩があるし、ソロと室内楽の演奏が交互にあるので、聴衆にとってはだいぶ楽になります。夜には阪田知樹くんのソロのリサイタルもありますので、ぜひウェブ中継をごらんください。