第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンペティション、今日にてすべて演奏が終了し、授賞式がたった今行われたところです。とにもかくにも結果をお知りになりたいかたが多いでしょうから、ご報告します。
3位 受賞者なし
2位 Yeol Eum Son
1位 辻井伸行 および Haochen Zhang
私が予想していた(そしてそうなるといいなと思っていた)通りの結果になりました。当然ながら、辻井さん本人、お母様のいつ子さん、ホストファミリーのみなさん、辻井さんの所属事務所のみなさん、そして辻井さんを応援していた数えきれないくらいの人々が、大喜び、大騒ぎ中です。今日の辻井さんのリサイタルでは、完璧にコントロールの効いたベートーヴェンの「熱情」ソナタ、本当に溜息が出るように親密で優しく誠実なショパンBerceuse Op. 57、遊び心と情熱の混じったリストのハンガリアン・ラプソディ2番という、ピアノの王道を行くような、しかも辻井さんの演奏の一番よい部分を引き出すようなプログラムで、聴衆にも審査員にも訴えかけました。
Zhangのプロコフィエフ・コンチェルト2番も、技術的にも音楽的にも素晴らしく、ともするとやたらとうるさいばかりになってしまう曲を、めりはりと色彩あふれる演奏で楽しませてくれました。私は予選前から彼をインタビューしていたので、個人的にもひいきにしていたし、毎回彼の演奏はなんだか天才的なものを感じていたので、やはりなるべき結果になった、という感じです。
Sonの、物語性と個性がありながら端正にまとめられた演奏、そして彼女独特のステージ・パーソナリティが私は予選のときからとても気に入っていました。彼女が2位というのも、私の予想通りになりました。
なお、辻井さんは、現代曲賞も受賞しました。
このコンクールをすべて現地で見学し、参加者全員が人生をかけてのぞんだ演奏に3週間近くたっぷりと浸かる機会をもち、素晴らしい音楽にも、私が垣間みることのできた演奏者の人生の一端にも、そしてこのイヴェンとを支えるさまざまな人たちの努力にも、感動すること考えさせられることが本当に多く、私は自分の人生を豊かにしていただいた気持ちでいっぱいです。イベントすべて終わった今、みなさんに伝えたいことがたくさんあるのですが、これから着替えて閉会パーティに出かけるところなので、また後でゆっくり書きます。とりあえず結果ご報告まで。