2009年6月25日木曜日

Don't Cry for Me, Argentina

ここ数日、アメリカではサウスカロライナ州知事マーク・サンフォード氏の不倫発覚事件で話題もちきりです。共和党はなんだか踏んだり蹴ったりで、ほとんど気の毒になってくるくらいですが、今回の事件はあまりにも訳がわからなくて、呆れるやら笑ってしまうやらです。サンフォード氏が不倫を告白した記者会見での弁舌は、最初から最後まで支離滅裂で、演説や討議が政治文化の中心にあるアメリカでもこんなに無茶苦茶な会見をする政治家がいるということに、なんだか新鮮な驚きすら覚えてしまいます。「(恋人に会いに行っていた)アルゼンチンでは何日間も泣き続けていた」などというくだりは、ウケを狙って言っているとしか思えず(でもどうやらそうでないらしいところがオソロしい)、今後Don't Cry for Me, Argentinaの歌は真顔では聴いたり歌ったりできなくなるでしょう。『新潮45』の「恋愛単語で知るアメリカ」の連載の5月号でmidlife crisisという用語について説明しましたが、これはまさにmidlife crisisの典型ですね。

ニューヨーク・タイムズのコラムニストのGail Collinsがこの件について面白可笑しい論説を書いていますが、景気対策のために連邦政府から州へ与えられる7億ドルをサンフォード氏が辞退したというのは、なにか筋の通った政治・経済的な立場によるものではなくて、彼が単に頭がおかしくなっていることの印だったのではという彼女の説は、この記者会見を見た後ではなんだか説得力があります。

しかし、これだけ訳のわからない弁舌でも、アメリカ文化・社会という視点からすればやはり興味深い点はあるもので、この支離滅裂な10数分の会見のあいだに、「父親」「妻」「息子たち」「信仰」「神」「親友」「許し」「心」といった単語が何回出て来るか、ということだけでも学ぶところはあります。また、アパラチア山脈という地域が一般のアメリカ人に喚起するイメージが、この事件でずいぶん変わるような気もします。

と、この投稿を書いている最中に、マイケル・ジャクソンが亡くなったというニュースが出ました!わー、びっくり!彼こそ数奇な人生を送った人ですが、彼が大スターとなった時期と、私があの種類の音楽を聴いていた時期が重なっていただけに、いっそう時代の流れを感じます。

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