2009年9月7日月曜日

オバマ大統領の新学期スピーチ

アメリカでは新しい年度が始まっています。長い夏休みが終わって、再び学校生活に戻るときの、興奮と憂鬱の混ざった気分は独特のものがありますが、アメリカの高校生活では学年ごとに経験することがかなり違ったりするので(高校3年生はpromというダンスパーティがあるし)、そうした気分がますます強まるとも言えます。

オバマ大統領がヴァージニアの公立高校の始業式でしたスピーチの全文がこちらにあります。高校生を相手にしたスピーチなので言葉はきわめてシンプルで明快(なので、高校まで英語を勉強した日本人ならじゅうぶん理解できますので、ふだんこのブログで私が紹介するニューヨーク・タイムズの記事などを面倒で読まない人も、ぜひ読んでみてください:))でありながら、内容が濃く、生徒自身に責任ある行動とたゆまぬ努力を促す、厳しくかつやる気を与える演説です。とくに、

But at the end of the day, we can have the most dedicated teachers, the most supportive parents, and the best schools in the world – and none of it will matter unless all of you fulfill your responsibilities. Unless you show up to those schools; pay attention to those teachers; listen to your parents, grandparents and other adults; and put in the hard work it takes to succeed.

とか、

But at the end of the day, the circumstances of your life – what you look like, where you come from, how much money you have, what you’ve got going on at home – that’s no excuse for neglecting your homework or having a bad attitude. That’s no excuse for talking back to your teacher, or cutting class, or dropping out of school. That’s no excuse for not trying.

Where you are right now doesn’t have to determine where you’ll end up. No one’s written your destiny for you. Here in America, you write your own destiny. You make your own future. That’s what young people like you are doing every day, all across America.

とかいったメッセージは、恵まれた環境で育った保守派の政治家の口から出れば、歴史や社会構造が生み出した不均衡を無視してすべてを個人の自助努力に委ねる見方になりがちなのが、オバマ氏のような背景をもった人物が言うからこそ、説得力があるものです。そして、教師としては、「ペーパーというものは提出する前に何度か書き直すものだ」という具体的なメッセージがありがたい!

民主党新政権が、子育て支援や高校教育無償化などを通じて教育機会の均等化・拡大を目指しているのは結構なことですが、現代の教育はどういう人間の育成を目指してどういう形であるべきかという、本質的で具体的な議論が、政治家や官僚や教育者だけでなく、社会全体で、これから真剣になされることを強く願っています。