2009年9月24日木曜日

中学生のカム・アウト

27日発行になるニューヨーク・タイムズ・マガジンに掲載される、Coming Out in Middle Schoolという記事の全文が、既にウェブサイトで読めます。まずは、これだけの長文記事が新聞の付録に載るということに改めて感動。私は日本に来てから、新聞や雑誌の薄っぺらさ、読みごたえのなさに本当に落胆しているので、これだけ調査と執筆に時間と労力がかかった立派な記事を読むと、「あー、調査ジャーナリズムというものはこういうものなんだった」と感動します。日本だって、個々のジャーナリストにはもちろん優秀で意識が高く立派な仕事をしている人もいますが、なにしろそうした人たちが集めたデータや分析した内容を、それなりの紙面を割いて大衆に伝える媒体がなければどうしようもないのです。今の日本の全国紙や月刊誌・週刊誌の五倍くらいの(物理的にも内容的にも)厚みがあるメディアが、二、三はあってこそ、きちんとした言論の場、そしてハバーマスのいう「公共性」が形成されるはずだと思います。

まあそれはともかく、肝心の記事の中身ですが、アメリカのいろいろな場所(それも、いわゆる「リベラル」な風土で知られている場所ではなく、この記事の舞台となっているオクラホマのようなところでも)で、ゲイやレズビアン、あるいはバイセクシュアルとしてカム・アウトする中学生が増えてきている、という話です。自分がゲイであると認識するようになるのは30代や40代になってからという人も多いなかで、高校生や大学生のときならともかく、中学生がそんなに確固とした性的アイデンティティをもつものだろうかと、自らゲイである大人(この記事の著者も含め)のあいだからも懐疑の念もあるものの、最近では12、13歳でゲイとしてのアイデンティティを確信して、家族や友達にカム・アウトする中学生が多い(彼らは平均で10歳のときに初めて自分が同性に惹かれるということに気づいた)、とのことです。一世代前と比べると、同性愛に理解やサポートのある親や教師が多く、カム・アウトはしやすくなってきているとは言っても、ただでも生理的にも情緒的にも揺れ動く年齢で、友達同士のグループが形成されて仲間はずれやいじめも発生しやすい中学校という環境で、ゲイとして堂々と生きるのは今でもとても難しい。全国120の中学校では、Gay Straight Alliance、すなわちゲイとストレートの生徒たちの団結のためのグループが結成されて、ゲイの生徒へのハラスメントなどを防ぐ活動などが行われている、とのことです。そのいっぽうで、思春期に自分がゲイやレズビアンであることに気づきながらも、家族や友達の理解を得られなかったり変態扱いされたりして、あるいはそうなるとの恐怖から、鬱病になったりアルコールや薬物依存症になったり、自殺などの自己破壊的な行動に走ったりする男女も多いのが現実です。

同性愛のことに限らず、性にまつわる話題について、親や子供ときちんと話をするのは、たいていの場合、どちらにとってもとても居心地の悪いものでしょう。私も親とそんな話をしたことはありません。でも、アメリカでも日本でも、今の世の中で子育てをするにおいて、性についてきちんとした会話をするのは、親としてもっとも大事なことのひとつなんじゃないかと思います。思春期の男女が性に好奇心をもつのは当たり前。そのことばっかり考えているような時期があっても当たり前。なんだかよくわからないけどいろいろ試してみるのも当たり前。それをちゃんと受け止めて、性や身体について健全な意識と態度をもつように、そして自分のことも性行為の相手のことも大事にしながら、いい性生活が送れる大人へと成長していくように、きちんと話をすることは、とっても重要だと思います。そして、そのなかで、世の中の人の何パーセントかは同性愛者だったりトランスジェンダーだったりトランスセクシュアルだったりするのであって、それは変なことでも間違ったことでもない、ということ、そして、自分がゲイだと気づいたり、周りにゲイの友達がいたりしたら、恐怖感や疎外感をもったりしないで、そのアイデンティティを明るく温かく受け止めるべき、ということを、きちんと伝えるべきです。そして、子供がゲイだろうがストレートだろうが、親である自分は子供を同じように愛してサポートしていく、ということを子供が親から感じれば、沢山の困難が待ち受けているそれからの人生にも、ある程度の安心感をもってのぞめるはずです。ゲイの若者たちにも頑張ってもらいたいけれど、ゲイの子供をもった親たちにも、ゲイの友達をもった若者たちにも、ゲイの人々が安心して幸せに行きて行ける環境を作るために頑張ってもらいたいです。頑張れー!

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