今日は、住友生命が主催している「未来を築く子育てプロジェクト」事業の受賞者表彰式に出席してきました。このプロジェクトは、2007年に始まって今回が第4回。(現時点ではプロジェクトのリンクでは第3回までの情報しか出てきませんが、もうじき今日の表彰式の様子や受賞者のプロフィールも掲載されることでしょう。)子育て・子育ちにまつわるエッセイ・コンクール、より良い子育て環境づくりに取り組む個人・団体の表彰、育児のため研究の継続が困難となっている女性研究者や育児を行いながら研究を続けている女性研究者のための助成金、という3部門があり、私の愛弟子のひとりが研究助成を受賞したので、ホテル・ニューオータニで行われた表彰式に私も行ってきた、というわけです。指導教授に受賞の現場を目撃されたら、学生にはプレッシャーがかかってしっかり勉強するだろう、という動機もちょっとあったのですが(笑)、子育ての他にもいろいろな事情のある状況のなかで研究を続けようとしている若手女性たちやその家族たちの姿を見るのは、胸が熱くなるものがありました。小さな子どもを抱いて表彰の舞台に立つ女性も多かったですし、式の後の懇親会で、受賞者の家族や関係者と思われるさまざまな年齢の男女が、そのへんを走り回る子どもたちを見守っている(「見張っている」というほうが正確か?:))のも、心温まる光景でした。
私の学生についての個人的なことについてはここでは書きませんが、家族の事情とはまったく別にして、ハワイ大学の博士課程に入ってきたときからとても優秀な学生でした。問題意識が高く、知的好奇心が幅広く、呑み込みが速く、ひとつ教えたらそれを応用して何倍ものことを理解してくれる。学術的な論理力があると同時に、一筋縄ではいかない生身の人間社会の複雑さにニュアンスとシンパシーをもって接することができる。あらゆる意味で研究者としてとても有望な人物なのですが、ここ数年間、結婚・出産と同時期に思いもしない事情でたいへんな苦労をすることになり、博士課程の途中で故郷に帰り、仕事をして家族の生活を支えなければいけないことになりました。仕事と子育て・家事をこなしながらも勉強を続けようと頑張っているのですが、やはり絶対的な時間が限られているので、200冊の研究書を読まなければいけない資格試験の準備が思うように進まず悩んでいたところに、今回の受賞となりました。この助成は、年間100万円が2年間、ということで、それによって生活していけるというわけではないのですが、仕事を減らして勉強に集中する時間を増やせる、という意味ではとても大きな助けとなります。(でも、私がこのプロジェクトを運営するのであれば、受賞者の数を半数に減らして、各受賞者の助成額を年間250万円か300万円に増額します。研究者にとってとにかく必要なのは、時間です。子育てをしている人が研究に専念するためには、それで家族の家賃と食費がなんとかまかなえるくらいの助成が必要です。)頑張れ〜!(と、こんなパブリックな場で書かれたら、頑張らないわけにはいかないでしょう:))