2011年2月24日木曜日

これはとにかく必聴!Quatuor Ébène

いやー、ものすごいものを知ってしまいました。ラヴェルの弦楽四重奏の録音を探していて、たまたま行き当たったのが、フランスの若い四人組、Quatuor ÉbèneのCD。私は室内楽はとても好き(といっても、室内楽に興味を持つようになったのはここ十年以内のこと)なのですが、世界のいろいろな室内楽団をフォローしているわけでもないので、今までこのグループのことは知りませんでした。ただ、定評のあるベテランの演奏もいいけれど(先日行った、王子ホールでの東京クワルテットのコンサートでは、その見事な温かいアンサンブルとベートーヴェンの濃密さに、天にも昇るような気持ちにさせられました)、若いグループを聴いてみるのもいいかと思ってダウンロードしてみたという、なんとも素人的な経緯での出会いでした。このドビュッシー、フォーレ、ラヴェルの弦楽四重奏のCD、宣伝用に作られたビデオをYouTubeで観て、「お、これはなんかすごいかも」と思ったのですが、アルバムをまるごと聴いてみると、あまりのすごさに、一切の動きを止めて思わずコンピューターの画面を見つめたまま(音楽を聴くのにコンピューターの画面を見つめても意味はないのですが)じーっと聴き通してしまいました。その後も何度もiPodなどで聴いているのですが、なにかをしながらBGMとして聴くにはあまりにも勿体ない演奏。(ただし、その濃度と洗練度に心も身体も動かされるので、ジョギングをしながら聴くにはけっこういい。)歯切れがよく、色が鮮やかで、濃淡が見事で、歌い方の情感が言葉では言い表せないくらい素晴らしい。そして、なんといってもアンサンブルがすごい。室内楽団のなかには、演奏ではぴったり息が合っていても私生活では仲が悪いといったグループも結構あるようですが、この四人組は、性格はそれぞれ違っても、生活のあらゆる側面でとてもいい具合に絡み合っている様子が、音楽の密度から感じられます。もう、なんと言って説明してよいものやらわからないくらいなので、とにかく聴いてみてください。

このドビュッシー、フォーレ、ラヴェルにあまりにも度肝を抜かれたので、彼らの新作であるジャズ・フュージョン(というのかな)のCD、Fictionも早速入手してみましたが、これまたすごい。クラシックの演奏家がこういうジャンルのものを演奏すると、その成功度には大きな幅があるというのが私の経験ですが、これは大成功例だと思います。ひとりでじーっと聴いていても素晴らしいですが、「デート」で勝負に出るときに私だったらこれをかけるかも(ちなみに、ヨーヨー・マのタンゴのCDも、私はその部類に入れます)。私はQuatuor Ébèneの追っかけになりそうです。