2009年2月6日金曜日

子はかすがい . . . ではない?

昨日のニューヨーク・タイムズで、「読者がもっともeメールで人に送った記事」は、アメリカの家族の歴史の研究者による論説でした。20世紀半ばには、多少問題のある夫婦でも子供ができると絆が強まって幸せな家庭生活を送るようになる、と考えられていましたが、ここ20年くらいの研究によると、結婚生活において「子はかすがい」というのは正確ではなく、むしろ、子供ができると結婚生活の質は低下すると、25件の別個の研究が証明しているとのことです。

子供ができると子育てに時間がとられるぶん夫婦だけのコミュニケーションが減少するというのは常識で考えればわかることですが、もちろん、子供ができると夫婦仲が悪くなるという単純な話ではありません。データによると、子供を作るかどうか、作るならばいつ作るか、といったことに関してきちんと話し合いをした上で子供を作った夫婦は、子育て期間も幸せな結婚生活を送るのに対して、そうした話し合いのないまま子供ができてしまった夫婦は、子供の誕生以後不満を募らせがちとのことです。また、多くの家庭においては、子供ができると、女性は仕事を辞めて子育てをし、男性は家族を養うために仕事の時間を増やすことになる。その結果、女性は子育ての負担を共有してくれない夫に不満を募らせ、男性は家族のためにせっせと仕事をしている自分に理解を示さない妻に不満を募らせ、というパターンになりがち。こうした状況に意識的に対処しようとする夫婦は、結婚生活の絆も強まり、子供も学業面でも社交面でも健やかに育っていくけれども、そうでないと、夫婦関係に深刻な危機が訪れるケースが少なくないらしいです。アメリカでは、40年前と比べると、母親・父親ともに子供と過ごす時間はかなり増えた(1965年と2000年を比べると、平均的な母親が子供と過ごす時間は20%増え、父親が子供と過ごす時間は2倍になったそうです)ぶん、夫婦が子供抜きで過ごす時間が減ってきている。人間の生活の営みとしてはそれはある程度は当然のことかもしれないけれども、夫婦の時間やコミュニケーションを犠牲にして子供ばかりにエネルギーを投資するのは、長期的には結婚生活にも子供にもよくない(だいたい子供は、親が思っているほど親と時間を過ごしたいと思っておらず、両親がハッピーで、かつ放っておいてくれるほうが幸せなんだそうです。そう言われると確かにたいへん納得)し、子育てが終わって子供が家を出て行く頃になって急に夫婦だけの関係を再開しようと思っても難しい場合が多い、とのことです。

確かに、私の周りで子育てをしている夫婦を見回しても、子育てと仕事のストレスを抱えながらも夫婦で幸せそうにしている人たちは、子供以外にもなにか大事なもの(仕事とか、政治的コミットメントとか、共通の友人とか、趣味とか)を共有している人たちです。アメリカ以上に日本ではずっと、子育て期間は家庭生活が子供中心になりがちで、子供をおいて夫婦が二人だけの時間を過ごすということは、プラクティカルにも社会的にもなかなかしにくいですが(日本に住んでいなくて、夫も子供もいない私が言ってもまるで権威がないですが、周りを観察するかぎり間違いはなさそうです)、やっぱりせっかく人生を共にしようと思って結婚したのだからその結婚生活は大切に育んでいったほうがいいでしょう。子供を預けて夫婦がどこかに出かけるということが難しければ、平日に親が休みをとって、子供が学校に行っているあいだに夫婦でデートをしたり家の中のことを二人でしたりしたらどうでしょう。夏休みやお正月休みに家族旅行に出かけるというのももちろん楽しいですが、なんでもない普通の日に、学校から帰ってきたら両親が二人で食事を作りながら映画の話をしていた、なんていうことのほうが、子供にとってはとても幸せなんじゃないかと思います。もちろんこういうことは、理屈で言うのは簡単で、日常を構成するたくさんの現実のなかで実践するのは難しいのでしょうが、とにもかくにも、子育て中のご夫婦は、参考にしてくださーい。

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