2010年1月14日木曜日

ハイチ救済

私はブラウン大学の大学院1年目に、今では国際的人気の作家となり作品が何冊も日本語にも訳されているエドウィージ・ダンティカと同じ寮の階に住んでいました。ハイチ地震の惨状の報道を見て、本当に心が痛みます。関西の大地震の記憶もまだそう古くはない日本の人びとも、新聞やテレビの画像を見てさまざまな思いを抱いていることでしょう。

地理的にも比較的近く、ハイチの政治にもさまざまな形で関与してきて、またハイチからの移民も多いアメリカでは、やはりハイチを専門に研究している人やハイチでさまざまな活動をしている人の層も厚く、そのぶん報道も日本のメディアとは比較にならないくらい多角的です。ニューヨーク・タイムズには、Tracy Kidderというピュリツアー賞を受賞したジャーナリストによる、思慮深い論説が載っています。また、さまざまな分野でのハイチの専門家たちによる考察の特集や、ハイチで援助活動をしている団体のリストと寄附の方法も載っています。人口あたりの援助団体は世界で一番多いにもかかわらず世界最貧国のひとつであるハイチでは、インフラの不備や政権の腐敗などの社会的要因で、そうした援助がなかなか効率的に住民の手に届かず、長期的な生活の安定や医療の整備などにつながりにくい、とのこと。そして今回の地震では、さまざまなNGOが首都ポートープランスに拠点を置きその事務所自体が壊滅してしまったことから、本格的な救済活動がなかなか始められず、医療や公衆衛生などどんどん状況が悪化しているようです。欧米に本拠地をもつ国際的なNGOは、どんなに善意と専門性があっても、本国からスタッフを派遣するための人件費をはじめとする運営コストがどうしても高くつき、せっかくの援助資金の多くが対象地域に残らないという傾向があるのに対して、数あるNGOのなかでも、より地元コミュニティに根ざし、住民と協力関係を築き、現地の人びとによって運営に関する意思決定がなされる援助団体もあります。とは言っても、現地のことを何も知らない素人には、そうした団体の区別はつけられないですから、自分が信頼する専門家のアドバイスに従うしかないでしょう。私のもとに集まった情報によると、Partners in Healthという団体は、いわゆる慈善事業だけでなく、対象地域の人びとや団体と持続的な協力関係を築き、経済・政治を含むさまざまなアプローチで問題に取り組むことで、医療や社会サービスのインフラを作っている団体だそうです。この団体はハイチの拠点が首都から離れたところにあるので、他の多くの団体と違って現在もフルに活動しているとのことです。

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