ノラ・エフロンの脚本がずいぶんと話題になったのですが、私は脚本の作りとしてはいまいちだと思う点がいろいろありました。せっかく面白そうな話の糸口がいくつも開けられていながら、それが意味ある形でフォローされていない。ジュリア・チャイルドが長年文通だけで友情を育んだ親友の話とか、他の出版社が一般読者向けの料理本としては現実的でないとして彼女の原稿を拒否するなかで、先見の明を示して彼女と契約を結んだ女性編集者の話とか、企画を一緒に始めた仲間の女性の話とかが、もっと有機的に全体の物語のなかに組み込まれていればいいのに、と思いました。それでも、私にとっては、『ドット・コム・ラヴァーズ』に出てくる「ネイサン」(彼のブルックリンのキッチンは、この映画に出てくるクイーンズのキッチンよりもさらに一回り小さかったですが、そのなかで次々と夢のような料理が作られるのでした)が思い出されて面白かったです。陳腐ではありますが、人間やはり、自分が本当に好きなことを追求することが大事だ、ということ、そして、結婚するなら、自分のことを本当に信じて尊敬して応援してくれる相手とするべきである、ということが伝わってきます。メリル・ストリープももちろんいいですが、『プラダを着た悪魔』でも彼女と共演しているスタンリー・トゥッチがこれまたいい味を出しています。
これからオバマ大統領の演説を見なければ。