2010年9月26日日曜日

大学院生から大学一年生へのアドバイス

現在ニューヨーク・タイムズで「もっともeメールされている記事」というのが、現役の大学院生から大学一年生へのアドバイスをいくつか集めたもの。アメリカでは新学年が始まって一ヶ月ほど経つところで、大学生活を始めたばかりの一年生も、興奮や緊張といった最初の感情がややおさまり、それと同時に大学に対して抱いていた憧れや恐怖といった感情も形を変え、授業のつまらなさや周囲の人間たちに失望したり、あるいは授業や同級生の話にまるでついて行けないことを認識したり、ここは自分がいるべき場所ではないと痛感したりする時期。初めて親元を離れて暮らすことでの自由や解放感を手に入れるいっぽうで、生活のリズムや精神のバランスを崩す学生も少なくありません。アルコールやドラッグ、そして若者特有の性文化のもたらす危険もあるので、アメリカで大学に旅立つ子どもを持つのは日本とはまた違った心配があるなあと、友達を見ていて思います。

『アメリカの大学院で成功する方法』でも説明しているように、アメリカの大学では、とくに一、二年生向けの授業では、教授による大人数の講義が週に二、三回あり、それに加えて大学院生のティーチング・アシスタントが週に一回、小人数グループでのディスカッションや実験の指導などをする、という形式が多く、その場合はティーチング・アシスタントがレポートの添削や試験の採点なども担当します。ティーチング・アシスタントは、学部生の勉強をもっとも実際的に手取り足取り面倒みる役割を担うと同時に、学部生に比較的年齢も近く、自ら学部生活を割と最近経験してきた立場なので(といっても、アメリカの大学では、教授よりもティーチング・アシスタントのほうが年上だったりする場合もそれほど珍しくはありませんが)、そうした視点からのアドバイスとなっていて、なかなか興味深いです。勉強に関することも、より幅広い意味での人生経験に関することも含まれていますが、アメリカならではのものもありますが、私が面白い(そしてその通りだ)と思うのが、「自分よりずっと貧しい、あるいはずっと裕福な環境で育った友達と交流すること」「自分と異なる宗教や人種の相手と『デート』すること」「大学の外に出て、その街のことを知る努力をすること」「教授でも学生でもない人たちと知り合うこと」「教授の研究のアシスタントをしてみること」「一日数時間は、コンピューターからも携帯からも離れて、じっくりものを読む時間を過ごすこと」といったようなもの。

私はバブルの時代に浮かれた大学生活を送ったので、大学時代については反省することが大いにあるのですが、そうした反省と、大学生を教える今の立場から、私が新入生にアドバイスをするとしたら...

*とにかく勉強すること
*人の輪に入っていることだけで安易に安心・満足しないこと
*ひとりでものを考える時間を大事にすること
*古典をしっかり読むこと
*自分のことを本気で指導してくれる教授を少なくとも二人見つけ、関係を築くこと(願わくばこの二人は分野や視点や世代や性別の違った人物であるとよい)
*就職などに直接役に立たない勉強をたくさんすること
*人と真剣に話をすること
*恥ずかしげもなく大きな夢をもつこと
*旅をすること