今年の受賞者23名も、なかなか面白い顔ぶれ。なかでも私が個人的に興味があるのは、ジェファソンが関係をもっていたことが知られている奴隷の女性とその子孫の歴史を通じて、奴隷制や人種や性の複雑な歴史を解き明かした研究で知られている、歴史・法律の専門家、Annette Gordon-Reed。ブラウン大学のあるプロヴィデンス市で町の(多くは恵まれない環境で育っている)子どもたちのための音楽教育プログラムを運営しているSebastian Ruth。(Community MusicWorksというこのプログラムについては、Alex Rossが『ニューヨーカー』にとてもいい記事を書いていて、発売ほやほやの彼の新著『Listen to This』に収められています。)麻薬犯罪や政治腐敗にまみれたボルティモア市の複雑な現実を独特な手法で描いたテレビ番組『The Wire』(こちらではもう放映は終わってしまいましたが、これは無茶苦茶迫力があってとーっても興味深いですので、DVDで是非みてください)のプロデューサーで、作家・脚本家でもあるDavid Simon。受賞者はたいてい30代や40代の人が多いのですが、今回の最年長は、72歳で、活字フォントのデザイナーのMatthew Carter。
こういった実にいろんな形の創造性や独創性、そして社会への貢献というものを評価し支援するのが、アメリカならではだなあと思います。