さて、「歴史と記憶」の授業の一環で数週間後に学生を靖国神社に連れて行くことになっているので、今日その下見に行ってきました。靖国に行ったのはひさしぶりでしたが、平日昼間で人が少なかったのでいろいろ観察ができて面白かったです。掲示板に展示されている遺書、敷地内に建っているいろいろな銅像(戦争で死んだ軍馬や軍犬をたたえる銅像がある)、遊就館(今日は展示のなかには入りませんでしたが)の売店で売っている本やDVDのセレクションなどなど。そして、これは人が少なかったからこそできたことですが、人々が絵馬に書いた願いごとが、とても興味深かったので、いくつか写真を撮ってきました。名前が書いてあるものが多いのでプライバシーのため写真は掲載しませんが、以下の文章は原文のままです。個人名が書かれている部分はXYとしました。
「崩壊寸前の国防・治安・教育を見護りください。XYさんの禁煙が成功致しますように。」
「日本大スキ!変な外国人から守ってください。民主党から日本をお守りください。」
「日本国がこれからも日本国であります様に。日本国を愛する者として」
「XYさんと共に仕事出来ますように。600万以上の彼氏ができますように。ハワイに行けますように!!」
「陸曹候補合格 祖国の為に身を尽くします。 陸上自衛隊中央部応連帯 XY」
「靖国の神々よ、願わくは現政権の手より日本国を御護りください。今年も桜に会えました。おじいさん、いつもありがとう。」
「しあわせな恋愛をへて、しあわせな結婚ができますように。全身のはだがキレイになって『カワイイ』とたくさん言われますように」
「今年は日本の製造業の発展に貢献することで、日本に貢献する人間になります。御見守りください。中小企業診断士 XY」
「祖国のために何かできることが見つかりますように。大学一年 XY」
「日本が繁栄しますように。二人の息子がどちらも医学部に合格しますように。」
何百枚とある絵馬のなかから目に留まったものを撮影しただけなので、サンプリングには私の好奇心以外になんの意味もありません。どこの神社でもありそうな願いごとも多く、「就職が決まりますように」というものが多かったのに胸が詰まる思いがしますし、私なぞは、「そうかー、人はこういう場所で幸せな結婚についてお願いするのかー」などと感心してしまいました。600万というのは年収のことでしょうが、神様へのお願いに含まれるその具体性・現実性から切実さが感じられます。それと同時に、やはり靖国神社ならではというものがかなり多いのが興味深かったです。これらの願いごとを書いた人それぞれにとって、「日本」とはなにを意味しているのか、とても知りたいです。また、憂国や愛国の思いと一緒に、禁煙とか受験とかといったきわめて目前の具体的な願いが綴られているところに、人間的なリアリティがあって面白い。神社の協力を得て、こうした絵馬に書かれた願いごとをデータ分析したらさぞかし面白い結果になることでしょう。ちなみに、せっかくなので私も一枚書いてきました。
「日本が自国の歴史にきちんと向き合い、アジア諸国と共存できる民主国家として発展しますように」
次の首相が、この願いを少しでもかなえてくれますように。