2013年5月30日木曜日

第14回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール 準本選進出者発表!

今日の午後で残り6人の2回目の予選演奏が終わり、1時間半の待ち時間を経て、いよいよ準本選に進出する出演者が発表されました。もったいぶっても仕方ないので、結果から先に報告すると、30人の出場者のうち、準本選に進むことが決まった12人は以下のとおりです。

Nikita Abrosimov
Sean Chen
Alexey Chernov
Alessandro Deljavan
Fei-Fei Dong
Jayson Gillham
Claire Huangci
Vadym Kholodenko
Nikolay Khozyainov
Nikita Mndoyants
Beatrice Rana
Tomoki Sakata


昨晩の私の予想のうち、準本選に残らなかったのはひとり(Yekwon Sunwoo。彼が残らなかったのは本当に不思議です)だけなので、おおむね私の判断は当たっていたようです。阪田くんが残ったのは本当に嬉しい。発表の後で阪田くんのお母さんと少しお話しましたが、「本当に活き活きとして、伸びやかな素晴らしい演奏でした」と言ったら、「今回は本人も楽しんで演奏できているようです」とおっしゃっていました。Alessandro Deljavanに「あんなにエキサイティングなショパンのエチュードは聴いたことがない」とお祝いを言ったら、私の手をじっと握って「ありがとう」と言っていましたが、たしかにかなり変わった人物ではあるけれど、相手にかかわらず人の目をちゃんと見て話をする人だなあという印象。

逆に、「この人は準本選には行かないだろう」と思っていたのに進出したのはひとりだけ(Claire Huangci。2回目の演奏はとてもよかったけれど、彼女の1回目の演奏と比べたら、ずっといい演奏をした人が何人もいたと思いました)。あとは、とくに驚かない結果でした。Steven Linをもう見られないのは実に残念ですが(笑)、結果発表のあと「あなたの大ファンです」といって一緒に写真を撮ってもらったので、Deljavanの写真とともに載せておきます。Luca Burattoが残らなかったのも残念。



もちろん、準本選進出かなわなかった出演者たちはみな大きく落胆しているはずですが、さすがこのコンクールに出るようなレベルの人たちはみな他にたくさんのコンクールで経験を積んできているし、審査にはいろいろな要素が絡んでいて、ここで落選したからといって音楽家として劣っているわけでは必ずしもない、ということをちゃんとわかっているのでしょう、目に見えて落胆や悲しみや怒りを顔に出している人はいませんでした。これぞプロというものです。

2009年のコンクールのときは、結果発表までの時間に、出演者はみな控え室で卓球をしたりしながら待っていて、発表が始まるとホストファミリーや聴衆に混じって客席に座っていたのですが、今回は発表の形式が少し変わり、発表の時間が午後7時とあらかじめ指定され、クライバーン財団の理事長の挨拶の後、財団長が30人の出場者の名前を呼び、全員が舞台に出てコンクール参加の賞状を受け取りました。そして、30人が出そろったところで、会場に集まった聴衆全員が総立ちで、1週間すべてをかけて自分たちの音楽を披露してくれた出場者たちに、大きな拍手を何分間もと思われる長い時間送りました。若い芸術家たちに心からの拍手を送るこの会場の空気に、私はじーんとして涙ぐんでしまいました。



これまで1週間、午前11時から午後10時過ぎまで演奏を聴きっぱなしで、他のことはなにもできない状態でしたが、明日は聴衆にとっては一日お休み。ただし、準本選進出者は、室内楽のリハーサルなどが詰まっているし、もちろんこれからの演奏の準備をしなければいけないので、喜んだり休んだりしている場合ではありません。でも、少しは休んで、2日後からまた自分たちの演奏を存分に聴かせてくれることを期待しています。準本選の演奏スケジュールはこちらで見られます。