昨年からの金融危機そして経済全体の不景気は、あらゆるところで影響を与えています。ハワイ大学でも大幅な予算削減によって、教員採用の凍結に始まって、事務スタッフや設備・運営費などのカットが次々に通知されています。やがては選択的に学科がまるごと潰されたり、教員が解雇されたりという可能性もありうる、という話です。私の学部も、年末にリタイアした秘書の代わりを雇うことができず、アルバイトの事務スタッフでしのいでいます。大学というのは、教授の一人や二人がしばらく病気になったりしてもまあなんとかなりますが、秘書が一人いなくなったら日常業務がまるでストップしてしまいます。今まで私たちの面倒をみてくれていた秘書があまりにも有能ですばらしい人だったので、教授陣はどんな事務事項に関してもあたふたとするばかりでとても困っています。でも、他の学部では、授業の教材も含めコピーが一切できなくなった、というところもあるので、それに比べたらまだうちはなんとかやっています。
不況は経済生活そのものだけでなくいろんなところに影響を与えますが、今日のニューヨーク・タイムズに、ウォール・ストリートなどで働く銀行マンと「デート」している女性のためのサポート・グループについての記事があります。金融危機で、多額の損失をしたり、自分のポジションの心配をしたり、あるいは従業員を多数解雇したりで、ストレスが極度にたまると、男性は恋人や妻との対話やセックスを避けようとしたり(逆に、仕事で損失を出すとそのぶん性欲旺盛になる男性もいるらしい)、お酒に走ったり、浮気をしたり、趣味やスポーツなどから遠のいたり、精神的に不安定になりがちで、当然ふたりの関係に大きな負担がかかります。そうしたさなかに、贅沢な生活スタイルに慣れたガールフレンドや妻が、豪勢な外食や旅行ができなくなったのことについて文句を言ったりすると、これまた当然男性のほうはキレてしまいます。そうした状況で銀行マンとの交際をしている女性たちが、愚痴を言い合ったり解決策をシェアしたりするためのサポート・グループがあり、その名もDating a Banker Anonymousというのだそうです。アメリカでは、アルコール依存症の人のためのAlcoholic Anonymous(俗にAAという)や麻薬中毒者のための(Narcotics Anonymous)、過食症の人のためのOvereaters Anonymous、買い物や万引き中毒の人のためのShopaholic Anonymousなど、実にいろいろな組織があって(セックス中毒者のためのSex Addicts Anonymousなんていうのもあります)、参加者は「12 Steps」といわれる体系だったプログラムに則って、専門のトレーニングを受けた人のガイダンスのもと、グループのサポートのなかで、自分の問題とたたかっていくようになっています。こういうグループが全国のいたるところにあって、たいていは無料で参加でき、またプライバシー保護のためのメカニズムも実によくできているのには感心します。Dating a Banker Anonymousはそれをもじって、遊び的な要素が多く作られたものですが、グループのブログまであって、なんとも面白いです。『ドット・コム・ラヴァーズ』でも以前の投稿でもお金のことについては言及しましたが、私にとって、金銭感覚やお金をめぐる問題は、恋愛や結婚においてトップ3に入る重要ポイントだと思っているので(他の2つは政治観とセックスの相性)、お金とそれから派生する精神的・感情的な問題は、目をそらさずにきちんと取り組むべきだと思いまーす。